【水田雅展の為替・株式相場展望】動き難い展開、9月の重要イベントに向けて思惑交錯

2013年8月18日 14:07

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  来週(8月19日~23日)の株式・為替相場は、お盆休暇明けで売買高の増加が期待されるが、9月に相次ぐ重要イベントに向けて思惑が交錯する。動き難い状況が続いて方向感がなく、外国為替市場は膠着感を強め、株式市場は先物次第で乱高下する可能性があるだろう。

  来週も主要経済指標の発表があるが、それ以上に9月に入ると4日~5日の日銀金融政策決定会合、5日のECB(欧州中央銀行)理事会、5日~6日のG20首脳会議、6日の米8月雇用統計、7日の20年夏季五輪開催地決定、9日の日本4~6月期GDP改定値、17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)と重要イベントが相次ぐ。日本の消費増税実施の最終判断や、米国の量的緩和縮小開始時期と縮小ペースの決定に関連し、今後の金融市場の方向性に大きな影響を与える重要イベントだ。

  前週はお盆休暇で薄商いの中、先物主導で乱高下して方向感に欠ける展開だった。12日朝発表の日本4~6月期GDP速報値が年率換算2.6%増で市場予想の同3.6%増を下回り、週初は株安・円高のスタートとなった。その後は、法人税実効税率引下げを巡る一部報道や閣僚発言に振り回される形で乱高下した。米国で10年債利回りが2.8%台に上昇してドル・円相場が円安方向に傾く場面もあったが、主要経済指標が強弱入り混じる結果となって米国株が調整色を強めたことも弱材料だった。

■NYダウは金融緩和縮小を織込み中

  前週末16日の米国市場では、15日に比べてやや落ち着いた動きとなってダウ工業株30種平均株価は前日比30ドル72セント安と小幅な下落にとどまり、ドル・円相場は米長期金利上昇を受けて1ドル=97円50銭近辺でやや円安方向だった。ただしCME日経225先物(円建て)は1万3625円で大証終値比45円安となった。このため週初19日の日本市場はやや軟調スタートとなり、株式、為替ともに前週の流れを引き継ぐ形で方向感に欠ける動きとなりそうだ。

■消費税ジャッジには、なおマーケット心理は揺り動く

  そして金融市場の注目は、国内要因としては来年4月実施予定の消費増税に関する安倍晋三首相の最終判断、そして海外要因としては米FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和縮小開始時期と縮小ペースに集中しているため、9月の重要イベントに向けて動き難い状況が続く。

  消費増税に関する最終判断については、8月末に有識者の意見を聞き、9月9日発表の日本4~6月期GDP改定値を確認したうえで、早ければ9月中に結論を出すというスケジュールの見込みだ。GDP改定値が大幅に上方修正されれば、予定どおりに消費増税実施との観測が強まり市場に安心感が広がることも期待されるが、逆に改定値が市場予想に届かなければ消費増税先送りに対する警戒感が一段と強まりかねず、この場合は株安・円高の動きが強まる。

  米FRBの量的緩和に関しては、米国債とMBS(住宅ローン担保証券)の合計で毎月850億ドル購入しているが、資産買い入れ規模の縮小を9月17日~18日のFOMCで決定し、経済動向を睨みながら資産買い入れ規模を段階的に縮小していくという見方が優勢だ。ただし市場が資産買い入れ規模縮小だけでなく、量的緩和終了やゼロ金利解除までを一気に織り込みに行く可能性が警戒されている。9月6日の米8月雇用統計の結果次第では波乱の可能性があるだろう。

  さらに、大胆な規制改革に対する期待感はやや後退した形だが消費増税実施判断との関連でアベノミクス成長戦略第2弾、米FRBの今後の金融政策との関連で14年1月末に任期が切れるバーナンキ米FRB議長の後任人事問題も焦点となる。

  お盆休暇明けで売買高の増加が期待されるが、重要イベントに向けて動き難い状況が続くだけに、思惑が交錯して要人発言にも神経質な中で、先物次第で乱高下する可能性が高いだろう。物色面では引き続き好業績・好材料・好需給で値動きの出た銘柄の個別物色が中心となりそうだ。

  その他の注目スケジュールとしては、19日の日本7月貿易統計、日本6月景気動向指数CI改定値、20日の米7月シカゴ連銀全米活動指数、21日の日本景気動向指数研究会(第15景気循環の山谷決定)、米7月中古住宅販売、米FOMC7月30日~31日開催分議事録発表、22日の中国8月製造業PMI速報値(HSBC)、ユーロ圏8月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、米6月住宅価格指数、米7月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米8月製造業PMI速報値、23日の米7月新築一戸建て住宅販売などがあるだろう。

  その後は29日の米第2四半期GDP改定値、30日の日本7月全国・8月東京都区部消費者物価指数、日本7月家計調査、日本7月鉱工業生産速報値、ユーロ圏7月失業率、ユーロ圏8月消費者物価指数速報値、米7月個人所得・消費支出などが予定されている(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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