悪酔いには、かいわれ大根が有効?

2013年7月21日 20:10

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記事提供元:エコノミックニュース

 下戸ではない限り誰もが一度は、もしくは人によっては何度も悪酔いを経験したことがあるだろう。そして酔いが醒めたあとの後味悪さというのも、なかなか辛いものである。

 カゴメ<2811>は、米国のJohns Hopkins医科大学のPaul Talalay教授との共同研究により、ブロッコリースプラウトに豊富に含まれる成分(スルフォラファングルコシノレート)から派生する、機能性成分・スルフォラファンの新たな作用として、悪酔いの原因物質であるアセトアルデヒドの代謝を促進する作用を見出したと発表した。ブロッコリースプラウトというと、あまり聞き覚えのない名前だが、別名、かいわれ大根である。

 飲酒後、体内に吸収されたアルコールは、まずアセトアルデヒドに変換され、ついで酢酸へと代謝されるのだが、アセトアルデヒドから酢酸への代謝が進まず、血中のアセトアルデヒド濃度が高くなると、頭痛や吐き気などの悪酔い症状を引きおこす。そのため、アセトアルデヒドを速やかに減らすことができれば、悪酔いの軽減が期待できる。

 この研究では、マウスを用いた動物実験により、スルフォラファンの摂取がアセトアルデヒドの代謝に及ぼす効果について調査を行った。スルフォラファンを飼料に混ぜて、あらかじめ7日間摂取させておいたマウスにアルコールを飲ませると、血液中のアルコール濃度の変化はスルフォラファンを含まない飼料を摂取させたマウスとの差はなかったとしている。一方、アルコールの代謝物で悪酔いの原因ともいわれるアセトアルデヒドの血中濃度のピークはスルフォラファンを摂取させたマウスで低く、また、血液の中から消失していくスピードも速いことが判明したという。この結果から、スルフォラファンは、アルコールの代謝物で悪酔いの原因物質でもあるアセトアルデヒドの代謝を促進する作用を示すことが動物実験で明らかになったとしている。同社は、ヒトでも同様な効果を示すか否かは今後の検討課題であり、鋭意研究を進めていくとしている。

 アルコールは世界中で嗜好飲料として飲まれているが、欧米人と比較して日本人などのアジア人には、飲酒するとすぐに顔が赤くなったり、お酒に弱い人が多く存在する。そのような人たちの多くは、アルコールから変換されたアセトアルデヒドを代謝するための酵素のはたらきが遺伝的に弱いことが知られていて、日本人の実に44%が該当する。因みに、欧米人は5%未満である。アセトアルデヒドが高い濃度で長く体内に留まると、悪酔いの原因となることはもちろん、さまざまな疾病の原因にもなる。例えば、飲酒量が多い人間が食道ガンに罹るリスクは、低活性型の酵素を持つ人において、正常型の人のおよそ10倍にもなる。アセトアルデヒドの代謝を速めることができれば、悪酔いの軽減だけではなく、アセトアルデヒドが原因となって引き起こされるさまざまな障害の予防にもつながると同社は考えている。

 ブロッコリースプラウトに豊富に含まれる成分から人の体内で派生するスルフォラファンは、種々の解毒酵素の活性を高め、発がん性物質やカビ毒など、さまざまな有害物質の代謝を促進することがもともと知られていた。しかし、飲酒時のアセトアルデヒドの代謝に及ぼす影響の報告はかつてなく、そこに目をつけて同社は研究に着手した。(編集担当:久保田雄城)

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