IHI、最大送電端発電出力20kWのパッケージタイプ小型バイナリー発電装置を発売

2013年7月17日 18:47

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 IHIは17日、発電した電力を商用電源に接続可能な系統連系機能を有する、最大送電端発電出力20kWのパッケージタイプの小型バイナリー発電装置「ヒートリカバリー“HRシリーズ”」を、8月8日に販売開始すると発表した。同装置は市場価格として1000万円前後の予定で、今年度末までに20台以上の受注を目標に営業活動を展開していく。

 バイナリー発電装置は、100℃未満の工場排水や温泉などの熱エネルギーを利用し、沸点の低い媒体を蒸発させてタービン発電機を作動させるもの。これまで未利用であったエネルギーを活用し、低位熱からのエネルギー回収および有効利用による“省エネ”、または再生可能エネルギーから発電することによる“創エネ”への適用が期待されている。

 「ヒートリカバリー“HRシリーズ”」は、従来バイナリー発電に適さないとされ捨てられていた、少量の温水の利用実現を目的に開発したもの。最大送電端発電出力20kWの小型・軽量タイプで、これまで熱エネルギーの回収が難しいとされてきた、工場などで分散して排出されている100℃未満の温水を集約せずに利用できる機会が増える。さらに、少ない熱エネルギーで高出力を得ることが可能な、非常に高効率な画期的装置となっている。

 同装置は、使用する温水・冷却水の温度・量により、数kW~20kWの発電が可能。作動媒体には、電気事業法の小型バイナリー発電の規制緩和に適合したフッ素系の不活性ガスを使用し、70℃~95℃の温水で発電が可能で、冷却水の温度が30℃(一般的な工場の冷却水の平均的な水温)でも、温水が95℃あれば最大発電出力を得ることができる、高効率で導入しやすい仕様となっている。

 まとまった温水が排出される工場や温泉では、同装置を複数台設置し、温水を各装置に分散させて発電することも可能で、メンテナンス時には一台ずつ停止して他の装置で発電することにより、発電装置の稼働ロスを最小限に抑えることができ、効率の良い運用を可能とする。

 また、商用電源に接続可能な系統連系機能を標準装備することで、発電した電力の品質を上げるとともに電力の用途を広げ、温泉での再生可能エネルギーの固定買取制度の適用や工場での省エネにも貢献する。

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