信越化学、米国で塩ビ樹脂などの生産能力を増強 約500億円を投資

2013年6月19日 17:48

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 信越化学工業は19日、同社の米国子会社であるシンテック社が、米ルイジアナ州での電解、塩ビモノマーおよび塩ビ樹脂の生産能力の増強を決定したと発表した。

 増強する生産能力は塩ビモノマー約30万トン/年、カ性ソーダ約20万トン/年、塩ビ樹脂約30万トン/年で、増設後のシンテックの塩ビ樹脂の生産能力は、ルイジアナ州の工場の既存分とテキサス州の工場を併せて295万トン/年となる。完成は2015年頃を目指し、投資額は5億ドル(約500億円)と見込まれており、シンテック社の自己資金で賄う計画。

 シンテックは、米国内に加えて中米・南米を始めとする新興国の顧客への拡販を積極的に進めている。その結果、2012年12月期は前期に比べて2.2倍となる経常利益5億5100万ドルを上げ、過去最高益を更新した。プラクマン工場で実施した総投資額2500億円に上る塩ビの原料からの一貫生産工場が高稼働を継続し、増益に大きく貢献した。

 シンテックがこの大型投資を決断した2004年当時、米国では天然ガスの高騰が続いており、それが恒久化するという考えが趨勢だった。その中で同社は、「米国にはエネルギー問題を解決する力がある」と確信して一貫工場の建設を進め、2008年から順次稼働を開始、2011年夏に全ての工事が完了した。

 一方、米国ではシェールガスの採掘技術が確立され、天然ガスが国際競争力を取り戻した。シェールガス革命とも称されるブームが起きる前に踏み切った大型投資がシンテックの最高益に大きく貢献した。さらにシンテックは、今回の塩ビ樹脂などの生産能力増強により、世界最大の塩ビ樹脂メーカーとして世界の塩ビ需要の拡大に応えていくことを目指す。

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