セイコーエプソン、次世代プリントヘッドを量産開始 国内2拠点に160億円を投資

2013年6月19日 12:22

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 セイコーエプソンは19日、日本国内の2拠点に総額約160億円を投資し、インクジェットプリンター用のコア部品である次世代プリントヘッドの新規生産ラインを構築し、量産を開始したと発表した。まずは2013年度に発売するビジネス系と産業系のプリンターから順次搭載していく予定。

 今回量産を開始した次世代プリントヘッドは、セイコーエプソンが20年にわたり培ってきたインクジェットプリンターの技術と最先端のMEMS(微少電気機械システム)製造技術とを融合させ、高精度・高耐久・幅広いインク対応性というマイクロピエゾヘッドの従来からの特性を継承しつつ、さらなる小型化・高精度・高コストパフォーマンスを追求したもの。また、今後の超高精度化、高密度化に向けた基本技術も確立しており、エプソン製インクジェットプリンターの基本性能を飛躍的に向上させるプラットフォームとして長期的な観点で進化させていく。

 この次世代プリントヘッドは、アクチュエーターを形成するピエゾ材料の開発から独自に行っており、生産には超微細MEMS加工や正確かつ精密な装置制御など、高度な技術が必要不可欠となっている。また、生産ラインの立ち上げも難度が高く、長年にわたり培ったセイコーエプソンのものづくり力を最大限に発揮することも必要だった。このため、生産ラインはセイコーエプソンの技術開発の集積地である日本国内に立ち上げることとし、諏訪南事業所(長野県諏訪郡富士見町)と東北エプソン(山形県酒田市)に、2011年度から2013年度までの3年間で総額約160億円の投資を行う。

 諏訪南事業所ではプリントヘッド製造の前工程を受け持ち、プリントヘッドのコアとなる超微細MEMS構造部の製造を行う。一方東北エプソンでは、後工程としてプリントヘッドの組み立て作業を行うが、セイコーエプソンのFAロボット技術も駆使して完全自動組み立てラインを構築することで、生産性と品質についても飛躍的な向上を図っている。

 なお、セイコーエプソンは日本国内で一貫生産を行うことで次世代プリントヘッドに関する技術的ノウハウの蓄積を図るとともに、生産技術を盤石なものとし、コア部品製造の役割を担う国内生産拠点の競争優位性をさらに向上させていくことも狙いとしている。

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