川崎重工、稲わらから低コストなバイオエタノール製造技術を確立

2013年6月1日 13:35

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記事提供元:スラド

KAMUI 曰く、 バイオエタノールと言えば再生可能エネルギーとして期待される一方で、サトウキビやトウモロコシなどから作られることが多いために食料との競合による価格高騰などの問題があるが、川崎重工が稲を刈り取った際に出る「稲わら」からバイオエタノールを低コストで製造する技術を確立したことを発表している(ニュースリリース)。

農林水産省の「ソフトセルロース利活用プロジェクト」公募事業として秋田県に試験用プラントを建設し、秋田県農業公社と共同で2008年から2012年まで実証試験を行ってきたもの。従来、バイオエタノールを製造する場合には事前の糖化工程で硫酸や酵素を使うためコストの問題があったが、川崎重工の新技術では熱水のみによる糖化を可能とした。これにより製造コストを1リットルあたり40円まで引き下げることができたという。

日本国内で稲作に伴い発生する稲わらは年間約900万トン。このうち家畜などの飼料に回るのはわずか1割ほどに過ぎず、約7割が田畑への鋤き込みと焼却によって処分されているがこれが燃料製造に使えるならまさしく有効利用と言えるだろう。なお、熱水条件を変えることで稲わら以外を糖化することも可能ということで、稲わらとともに日本の農業廃棄物の多くを占める脱穀による籾殻(約230万トン)や、米ぬか(約45万トン)なども燃料化できるかも。

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