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日本の半導体産業の復権
1980年代に世界をリードしていた我が国の半導体産業は今や撤退寸前という状態に陥っている。日本の半導体産業を立て直そうと電気メーカーの半導体部門が合併して作ったエルピーダメモリ<6665>は会社更生法申請中で米マイクロンへの買収が決まり、ルネサスエレクトロニクス<6723>は昨年のリストラに加えて3月末、3000人規模の希望退職者を実施すると発表した。すでに複数の国内工場を売却し、モバイル事業の売却も視野にあるという。
この敗因は日本の「ものづくり」精神にあるのではないだろうか。顧客の製品ごとに特化した「すり合わせ」ものづくりが日本の産業の特徴で、半導体産業もその例に漏れない。顧客の製品ごとに特化した半導体デバイスでは他の製品に転用することが難しく、その製品が売れないと半導体デバイスも売れず、生産ラインの稼働率が落ちることになる。顧客の要求による一方通行のものづくりではなく、標準化を前提とした半導体デバイスを作らなければならない。こうすることで他の顧客からの要求に対しても最小の変更で生産でき、生産ラインの稼働率が落ちることはなく、ひいてはコスト低減につながり、また営業分野も拡大される。このためには半導体デバイスの知識だけではなく、搭載される製品のシステムについても知らなければならない。
成長市場であるスマートフォンとタブレットに搭載される半導体デバイスを見れば日本の半導体産業の凋落ぶりが見てとれる。スマートフォンとタブレットの市場上位を占めているサムスンとアップルの製品には村田製作所<6981>の積層セラミックコンデンサーや日東電工<6988>の偏光フィルムやタッチパネル用光学フィルムなどの多くの日本製電子部品が使われているにもかかわらず、心臓部であるCPUという日本製の半導体デバイスは採用されていない。
しかし、善戦している半導体企業もいる。サムスンと互角に戦っている東芝<6502>の世界シェア2位のNANDフラッシュメモリーはパソコン市場だけではなく、産業機器から家電品までに顧客層を広げている。また、ソニー<6758>が開発したCMOSイメージセンサーはデジカメのイメージセンサーだけではなく、オリンパスとの協業で医療機器に進出しようとしている。ものづくりに対する考えを変えることで日本の半導体産業が復権する道はある。(編集担当:西山喜代司)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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