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■「公平性」と「透明性」と「納得性」の関係
評価制度における重要な要素として、「公平性」「透明性」「納得性」の3つがいわれます。これらがすべて重要なことには異論ありませんが、評価制度を運用していく上で、私はすべてが同列ではないと思っています。
例えば、あるカリスマ社長がいて、その社長がある社員を評価した結果がB評価だったとして、その理由を社員には一切説明しなかった、もしくは「俺がBと言ったらBなんだ!」なんて程度の一方的なものだったとします。
これに対して社員は「社長にそう評価されたらその通りなんだろう」「あの人の目は確かだから間違いないだろう」などと思っていたとしたら、公平でも透明でもありませんが、納得はしています。
逆にどんなに「公平性」を意識して取り組んでも、どんなに「透明性」を向上させても、それで「納得性」が高まるとは限りません。
つまり、評価制度を成功させるには「納得性」が最も大事で、この「納得性」を高めるために、基準に基づいて公平に評価するという「公平性」と、評価過程や結果、理由を明らかにして、フィードバックや説明を行うというような「透明性」があるという考え方です。
「公平性」と「透明性」は制度で対応できますが、「納得性」は制度だけで対応できる部分ではありません。各自の主観と言ってもいい部分であり、誰がどんなやり方をしたか、何を見せ、何を語ったかなど、運用時の対応に左右されます。
このあたりを意識しないと、評価制度を検討する中で、評価する方法や評価プロセスでのエラーをなくすことなど、「公平性」「透明性」の部分ばかりが主眼になってしまい、肝心の「納得性」が高まらずに、制度運用がうまくいかないということになってしまいます。
3つの要素の関係性は、あらためて意識しておくと良いと思います。
次回も評価制度の留意事項についてのまとめです。
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