血管からの投与でアルツハイマーを遺伝子治療する実験に成功

2013年3月20日 13:43

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward 曰く、 理化学研究所と長崎大学が共同で開発したウイルスベクターを使用し、血管から投与することで、アルツハイマー病モデルマウスの認知機能を野生型マウスのレベルにまで回復させる実験に成功したそうだ(理化学研究所のプレスリリースNHKニュースの記事)。

アルツハイマー病は脳内にアミロイドβペプチドが蓄積することで発症する。アミロイドβペプチドの分解にはネブリライシンと呼ばれるタンパク質分解酵素が関与するため、脳内のネブリライシン活性を増強すれば症状を緩和できると考えられている。現在では頭蓋骨に穴をあけて脳組織にネブリライシン遺伝子を組み込んだウイルスベクターを直接注入する方法が行われているが(/.J記事)、外科的手術が必要となり、脳の広範囲に治療遺伝子を導入するのが困難といった欠点がある。今回開発された脳内の神経細胞だけで遺伝子発現をもたらすウイルスベクターを使用することにより、血管から脳内の広い範囲に治療遺伝子を導入することが可能になるという。ウイルスベクターの生成技術や安全性の問題などが解決されれば、臨床応用も期待できるとのことだ。

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