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急拡大が予測される燃料電池システム市場で、日本はトップを走れるか
家庭用燃料電池の普及が進み、自動車メーカー各社が開発に本腰を入れ出すなど、近時急激に注目度を高めている燃料電池。富士経済の調査によると、2011年度の燃料電池システム世界市場は699億円であるが、グリッド、自動車、家庭、小型移動体、携帯機器、小型電源など広い分野に対応できることから市場の拡大が急速に進み、2025年度の世界市場は5兆1843億円にまでなると予測されている。
現在、日本でこの市場を牽引しているのが家庭用燃料電池である。さらに、世界に先駆けて普及しているのも日本であり、前出富士経済のデータによると2011年度の市場は159億円となっているが、その内日本市場は154億円と90%以上を占めている。今後は、需要拡大を目指した低コスト化、小型化や付加価値化が進むと見られ、その世界市場は2015年度に1000億円を超え、2025年度は1兆1190億円が予測されている。欧州での市場確立、普及に日本のメーカーがどこまで食い込み、市場を牽引し続けることができるのか。今後の動きに注目が集まるところである。
一方、2011年度の世界市場は359億円と現在の燃料電池システム世界市場の半数を占めているものの、日本が遅れをとっているのが産業・業務用の分野である。現時点では導入時の補助が手厚い北米と燃料電池による発電事業を国策として進めている韓国に需要が集中している。燃料電池はシステム規模の大小に関わらず発電効率が高いため、ガスエンジンやガスタービンの導入には適さない小規模施設でも導入できるというメリットがある。このメリットを最大限活かした普及を実現することができるのかが今後の日本の課題であろう。
あらゆる分野での普及が期待されている燃料電池であるが、最も期待を集めているのは燃料電池車であろう。現在、燃料電池車は実証実験で利用されるケースが多く、2011年度の市場は3億円に留まっている。しかし、トヨタ<7203>がBMWグループと燃料電池システムの共同開発を発表し、日産<7201>もダイムラーAG、フォードと共同で燃料電池車技術の市販化を加速させると発表。2011年の時点でトヨタ、日産、ホンダ<7267>、JX日鉱日石エネルギー、出光興産<5019>、岩谷産業<8088>、大阪ガス<9532>、コスモ石油<5007>、西部ガス<9536>、昭和シェル石油<5002>、大陽日酸<4091>、東京ガス<9531>、東邦ガス<9533>の13社が、燃料電池車の2015年国内市場導入と水素供給インフラ整備に向けた共同声明を発表しているなど、日本における商用化に向けた取り組みは比較的進んでいる。水素ステーションの整備やその安全な運搬方法の確立等、壁はいくつか存在するが、2015年度に344億円、2025年には2兆9106億円にまで市場が拡大すると予測されているだけに、一刻も早く課題を解決し、日本が市場を牽引するための体制をいち早く整える必要があるであろう。
昨年9月には、ジャパンブルーエナジー、大和リース、豊田通商<8015>、三井化学<4183>の4社が、下水汚泥から水素ガスを製造する実証試験に着手している。こうした技術開発が進めば、燃料電池に必要な水素の地産地消が実現することとなり、日本がこの分野でイニシアティブを握る可能性が高まるであろう。本格普及が始まる2015年までは燃料電池に関する研究・開発、取り組みから目が離せない。(編集担当:井畑学)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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