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自殺対策、景気回復だけでは十分ではない
3月は自殺対策強化月間。昨年の自殺者数は27,858人となり、前年比2,793人(約9.1%)減だった。1998年以来、連続して3万人を超える状況が続いていたが、15年ぶりに3万人を下回った。
要因としては「健康問題」が約半数を占めており最も多い。次いで「経済・生活問題」が多いが、こちらは3年連続で大幅に減少した。このことから日経新聞は、「(自殺が減ったのは)経済環境が底打ちした影響もあるのではないか(自殺対策推進室)」という内閣府のコメントを報じているが、自殺者が3万人を切った要因はそれだけではないだろう。
なぜなら失業率と自殺率の増減は関連していないからだ。1998年に自殺者が大幅増加した際はリストラや倒産が増えたという明確な理由があったが、それ以後は景気が回復しても自殺率に変化はない。2003年から2007年のいざなみ景気時には失業者数が減ったが、自殺者数は減らなかった(「社会実情データ図録」による)。
内閣府の資料によると、ここ数年で増えているのは「勤務問題」「男女問題」「家庭問題」「学校問題」である。「経済・生活問題」は減っているとはいえ、20歳代以下の若者の「就職失敗」による自殺者数は2009年を境に急増している(「平成24年版 自殺対策白書」)。3.11後の震災自殺も依然として問題となっており、特に福島県が多い。
NPO法人ライフリンクによれば、自殺には69個もの原因がある。そこから平均して4つほどの要因がからんで、人は自殺に追い込まれてしまうという。同法人が紹介している具体例は、「介護疲れ→事業不振→過労→身体疾患+うつ病→自殺」や、「身体疾患→休職→失業→生活苦→多重債務→うつ病→自殺」などさまざまである。
このような例をみれば、自殺には景気回復だけではなく、多面的な対策が必要であることは言うまでもない。景気回復によってのみ、自殺が減るのではない。現状に満足せず、自殺者減少を目指した取り組みを続けていくことが求められる。
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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