長時間労働を減らしても、イクメンは増えない

2013年3月14日 09:15

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記事提供元:エコノミックニュース

 家事育児を積極的にこなす「イクメン」が話題になっているが、まだまだ日本人の夫は家事育児に消極的である。このことが妻の負担を増やす要因となっており、少子化の一因であるともいわれる。そもそもなぜ男性が家事育児に参加できないのか、その理由を考えないことには少子化も改善できない。

 多くの日本人男性は長時間労働に悩まされている。子育て期にある30代男性の約5人に1人が週60時間以上働いており、他の年代に比べ最も高い水準だ。育児時間を国際比較してみると、6歳未満の子どもをもつ夫の育児時間は1日平均で約30分程度しかなく、欧米諸国と比較して半分程度。家事の時間を加えても、子育て期の夫の家事育児にかける時間は1日平均1時間ほどで、欧米諸国と比べて実に3分の1程度しかない。

 それでは男性の労働時間を減らせば「男性の家庭進出」が進み、少子化も改善できるだろうか。西岡八郎氏、星敦士氏の研究によると、「夫の家事の頻度が高いことは、妻の子どもを欲しいという意識、そして何人産みたいかという期待にプラスの効果を与える」(「夫のワーク・ライフ・バランスが妻の出産意欲に与える影響」『人口問題研究』2009年)。つまり夫がよく家事をすればするほど、妻は子どもを多く欲しいと考えるということだ。

 ということは妻の出生意欲を高めるために、夫の労働時間を減らせばよいかというと、そう簡単ではない。先の論文では、「夫の家事参加の程度は労働時間とほとんど関連しない」ことが結論付けられている。つまり労働時間が短い夫の方がより積極的に家事に参加するというわけでもなく、または労働時間が減少すれば家事参加が増加するということもないのである。

 もっとも、長時間労働だった夫が専業主夫になったりすれば、家事育児の時間は大幅に増えることが予想されるが、全ての男性が急に主夫になることは現実的ではない。「男性の家庭進出」を進め、少子化を改善するためには、労働時間を減らすだけでは不十分ということだ。

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