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「東京」の冠社名銘柄は第2ラウンド・第3ラウンド展開で投資妙味セクターの招致活動を活発化=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
「ゾンビ銘柄」などといったら兜町の古老たちに怒られそうだ。株式に貴賤はない。古老たちは極低位値ごろ株だろうと、ボロ株だろうと、「上がる株が成長株」と固く信じ、投資哲学としているからだ。しかし、日経平均株価が、2008年9月のリーマン・ショック前の株価水準を回復するのに先立って、極低位値ごろ株が底上げ、リバイバルして昨年来高値を軒並み更新するのをみると、10年前、20年前、30年前の含み資産株人気、株集め思惑などの数々のバブル相場の熱狂が昨日のように蘇り、金輪際動かないと諦めていた塩漬け株が、息を吹き返したとの印象が拭えなくなるのである。
例えば東京テアトル <9633> である。そのかつての急騰ぶり、突飛高は、週足や月足をみただけでは分からない。10年足、30年足のチャートを参照しなくてはその栄枯盛衰には遡れない。もちろん上場来高値は、あの資産バブル時代の1990年につけた1150円だが、その前段もある。西武流通グループ(旧セゾングループ)の接近が、兜町で憶測を呼んで株価が思惑高した。その当時流布されたうわさは、西武鉄道は、銀座から秩父経由で軽井沢まで直通鉄道を建設、その銀座の拠点に同社の銀座テアトルビルの取得を狙っているというものであった。
いまになって冷静に考えれば、荒唐無稽と笑われそうなその相場シナリオだが、それが株価が急騰している真っ只中では、真顔で買い材料として取り沙汰されてもいたのである。そしてそれが、あながちまったくのガセネタではなかったことは、その後、西武鉄道ではないが、セゾングループが、有楽町の駅前の旧朝日新聞社本社跡地を買収して、複合商業ビル「有楽町マリオン」を建設、西武百貨店有楽町店をオープンさせたことから当たらずとも遠からずであったとも納得させてくれた。
そのセゾングループはすでに解体・再編され、西武鉄道も上場廃止となっており、ひとり東京テアトルのみが、ここにきて昨年来高値まで買い進まれ、存在感を際立たせるのをみると、やはり「ゾンビ銘柄」の感懐を抱くのは致し方のないところではある。
東京會舘 <9701> (東2)も、東京・丸の内のお堀端で高級レストラン・宴会場・ホテルを運営する老舗企業としてしばしば含み資産相場で動意付き、史上最高値は、資産バブル当時の1990年につけた2850円だが、この含み思惑株人気も、同社が、三菱地所 <8802> と提携を蜜にするとともに、その思惑の部分がかなりの程度、割り引かれたことも妙に印象に残っている。
さてここまで低位値ごろのリバイバル銘柄の2銘柄の出自・来歴について記述してきて、実はこの2銘柄にはこれ以外に大きな共通項があるのだが、読者のみなさんにお分かりになるだろうか?両社の社名に「東京」の冠がついていることである。何だ、そんな単純なことと聞き流されるかもしれないが、この「東京」の冠社名が、今回の当コラムのメーンテーマである。
このメーンテーマをご理解していただくために、読者のみなさんにもう一つ質問がある。東京テアトルも東京會舘も、揃って昨年来高値をつけたのが、3月4日だったが、これがどんな日であったかお分かりだろうか?(東京會舘はその後も買い物が続き前週末8日も昨年来高値まで買い上げられている)。テレビでその模様が放映されていたから、直ぐ思い出していただけるはずだが、3月4日は、国際オリンピック委員会(IOC)の評価委員会が、2020年開催の夏季オリンピックの開催地を決定する報告書を作成するために東京での現地調査を開始した日に当たっている。そして、この日の兜町で、これと歩調を合わせて「東京」を冠社名にする銘柄が、軒並み昨年来高値を更新するとともに、値上がり率ランキングの上位にもランクインもした。「東京銘柄」が、兜町でも投資有望セクターとして誘致活動を活発化させたのかもしれない。
値上がり率トップとなった東京機械製作所 <6335> を筆頭に、東京建物不動産販売 <3225> 、東京建物 <8804> 、東京楽天地 <8842> 、東京放送ホールディングス <9401> 、東京都競馬 <9672> などが、昨年来高値を更新した。(本紙編集長・浅妻昭治)(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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