トヨタ、フランスで超小型EVカーシェリングの実証実験開始へ

2013年3月5日 11:36

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最終目的地と公共交通の最寄駅との間の数キロ程度の移動を支援する仕組み(画像:トヨタ自動車)

最終目的地と公共交通の最寄駅との間の数キロ程度の移動を支援する仕組み(画像:トヨタ自動車)[写真拡大]

 仏グルノーブル市、グルノーブル都市圏共同体、シテ・リブ社(Cite lib)、フランス電力公社(EDF)、トヨタ自動車は5日、都市内の近距離移動に適した超小型EVを使い、最終目的地と公共交通の最寄駅との間の数キロ程度、いわゆる「ラストマイル」の移動ニーズに対応する画期的なカーシェアリングの実証実験を2014年末より開始することについて、MOU(Memorandum of Understanding)を締結したと発表した。同実証実験で使用される超小型EV(約70台)はトヨタからグルノーブル都市圏内に提供される。なお、同プロジェクトは同市の「エコシテ」開発の一環であり、「明日の都市基金」の支援を受ける。

 グルノーブル市ならびにグルノーブル都市圏共同体にとって、EVのカーシェアリングは温室効果ガスと大気汚染物質の排出低減を目指した画期的なプロジェクトであり、個人の自動車利用を抑えながら「エコシテ」地区で増加しつつある移動ニーズに対応することを目指すもの。

 同プロジェクトでは、公共交通や既存のカーシェアリング・サービスと連携することで「ラストマイル」の移動ニーズに対応する。グルノーブル都市圏内に設置される充電ステーションは、「ラストマイル」の移動の発着拠点となる公共交通の乗降場所や公共交通が少ない地域に導入される。

 トヨタにとって同プロジェクトは、公共交通と連携した超小型EVによるカーシェアリングの有用性と事業性を検証する実証実験の一つとなる。都市における公共交通と個人の移動の関係性についてより理解を深め、「ラストマイル」の移動手段に関するユーザーのニーズをより的確に把握することを目指す。

 トヨタが導入を予定している約70台のEVは、日本で販売している「COMS」(トヨタ車体製)と、ジュネーブ国際モーターショーで公開するコンセプトカー「TOYOTA i-ROAD」をベースに開発する超小型EVの2種類となる予定。この2種類のEVは、都市内の近距離移動、とりわけ「ラストマイル」の移動手段に適しており、コンパクトなサイズは都市内での快適な移動や容易な駐車を可能にし、駐車スペースの削減にも寄与する。

 また、トヨタは、情報管理システム「ワンマイルモビリティ運用管理システム」を開発し、提供する。同システムは、スマートフォンを通じて簡単に車両を予約できるとともに、車両の位置や空車状況を確認することができる。さらに同システムは、車両の利用状況を踏まえて各ステーションへの配車計画を最適化し、再配車を指示することも可能。

 EDFグループは、充電ステーション網を設置するとともに、それらの位置情報や使用状況などを管理するシステムも導入する。また、「ラストマイル」の移動ニーズに対応する商品とサービスを拡充させながら、EVのカーシェアリングと充電インフラに関するノウハウを提供する。

 EVカーシェアリングは、充電ステーションと連動した新たな都市交通サービスを目指すものであり、EDFグループは実証実験を通してその妥当性を評価する。また、実証実験では公共交通機関とも連携し、ICカードによる個人認証や課金に関するサービスも実施予定であり、その検証もEDFグループの目的の一つとなっている。

 シテ・リブ社は、従来よりグルノーブル市でカーシェアリング事業を行っており、同プロジェクトにおいてはカーシェアリングのオペレーションとカスタマーサービスを行う。ユーザーからの問い合わせ対応、新規加入や車両予約の管理、車両や充電ステーションのメンテナンスのほか、各充電ステーションへの車両の配送を担当し、日常の車両利用効率を管理する。

 シテ・リブ社にとって、都市内の近距離移動に適した超小型EVによるカーシェアリングは、都市をまたぐ移動手段として同社が提供しているガソリン及びディーゼル車両のカーシェアリングを補完し、同社が提供するサービスを充実させるものとなる。

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