大和ハウス、奈良工場を次世代環境配慮型工場に建て替え 約100億円を投資

2013年2月27日 13:08

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奈良工場の第一工場完成予想図(画像:大和ハウス工業)

奈良工場の第一工場完成予想図(画像:大和ハウス工業)[写真拡大]

 大和ハウス工業は26日、奈良工場(奈良県奈良市)を次世代環境配慮型工場「D's SMART FACTORY」に建て替えると発表した。まずは第一工場から建て替え、その後第二、第三工場も建て替えていく方針。第一工場は今年3月に新築工事着工し、今年12月に操業開始する予定。総事業費は約100億円(第一工場、第二工場、第三工場、事務所棟、食堂棟を含む)を見込んでいる。

 大和ハウスでは、「地球に優しく、人に優しい生産活動」をスローガンに、全国10工場で工業化住宅および建築用鉄骨部材、システム建築部材の生産を行っている。奈良工場は、日本初の工業化住宅の生産工場として1965年4月12日に操業を開始した。現在、近畿圏2府4県(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県)向けの戸建住宅・賃貸住宅用部材の生産、出荷を行っている。

 今回、大和ハウスでは東日本大震災を受け、全国10工場の防災性の検証を実施。その中で奈良工場については建設から半世紀経過したことを考慮し、今後発生しうる大規模地震等の自然災害に備えて防災性を高めるために建て替えることを決定した。

 建て替えにあたっては、工場棟には次世代環境配慮型工場である「D's SMART FACTORY」の技術を、事務所棟および食堂棟には環境配慮型オフィス「D's SMART OFFICE」の技術を採用する。また、工場棟・事務所棟・食堂棟はショールームとしても活用していく。あわせて、奈良工場内に戸建住宅を検討している顧客向けの体験施設「(仮称)住まいの科学体験館」を建設し、2013年度中にオープンさせる予定。

 具体的には、工場棟では、自然の力を活かす「パッシブコントロール」や創エネ・省エネを行う「アクティブコントロール」、それらを適正に制御する「スマートマネジメント」を組み合わせることにより、大和ハウスの従来建築と比較して照明エネルギーを最大約80%以上削減できる。

 さらに、奈良工場では、東日本大震災後の電力供給不足への対応と低炭素社会の実現を見据え、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を利用した売電事業に取り組む。大和ハウスが工場の屋根上(約2万4,000m2)に発電容量1MWの多結晶型の太陽光発電パネルを4,680枚敷設し、同社グループの大和エネルギーにメガソーラーを賃貸する。大和エネルギーは発電事業者として日中発電した全電力を電力会社へ売電するとともに、メガソーラーの運営管理を行う。同工場の予定発電量は年間約100万kWhで、約210世帯分の電力量に相当する。太陽光発電事業の年間売電売上は約4,500万円を見込んでいる。

 また、食堂棟屋根上には、1つのシステムで太陽光による発電と集熱が同時にでき、高いエネルギー効率を実現する「追尾集光型太陽光発電+集熱ハイブリッドシステム(スマートソーラーインターナショナル製)」を、産業用としては日本で初めて導入する。太陽光発電システムで創られた電力7.5kW分は自家消費するとともに、余剰電力については電力会社へ売電する。太陽熱利用については、パネルで温めた熱媒体(不凍液)を熱交換器で温水に熱交換し、食堂棟の給湯用の温水(約60℃)に利用する。

 そのほか、軽油で発電する336kWの自家発電機や15kWhのリチウムイオン蓄電池を設置するなど、BCP対策を強化する。

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