住友化学と日立金属が新型の排出ガス浄化用フィルターを開発、事業提携検討へ

2013年2月18日 13:40

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 住友化学と日立金属は18日、新しいタイプの排出ガス浄化用フィルター(パティキュレート・フィルター)を開発し、事業提携の検討を開始することで基本合意したと発表した。

 住友化学は2009年、アルミナ製品等の無機材料事業で培ってきた技術を生かして、自動車など内燃機関から排出されるススの限界堆積量や耐熱衝撃性に優れたチタン酸アルミニウム製の「パティキュレート・フィルター」を開発した。2011年には愛媛工場でマザープラントを建設し、2013年後半にはポーランドで量産を開始する予定で、事業化に向けた取り組みを進めている。

 一方、日立金属は2003年、高気孔率大型一体成形構造のコーディエライト製の「パティキュレート・フィルター」の開発、量産を開始して以来、国内大手商用車メーカー向けに安定供給してきた実績を有している。さらに、独自の細孔制御技術を駆使し、高性能化・高機能化を目的とした材料開発を行っている。

 近年、自動車のみならず建機や農機なども含めて、内燃機関の排出ガスに含まれる粒子状物質に関する規制が欧州、日本、米国をはじめ世界的に強化されつつある。こうした背景のもと、排出ガスを浄化する「パティキュレート・フィルター」は今後さらなる市場拡大が予想されており、性能向上やコスト低減に対するニーズも一段と高まっている。

 「パティキュレート・フィルター」の事業展開をそれぞれ進めてきた両社は、2012年夏からこうしたニーズに応える新製品の開発を共同で行ってきた。今回、両社の技術の融合により新しいタイプの画期的な「パティキュレート・フィルター」の開発に成功し、実用化のめどが立ったことから、同開発品に関する事業提携の検討を開始することで合意した。

 なお、今回開発した「パティキュレート・フィルター」は粒子状物質の捕集効率が高く、同時に圧力損失も低いことが特長で、燃費性能向上への貢献が期待できるという。

 今後は両社で新たに開発した「パティキュレート・フィルター」の性能をさらに高めていくとともに、試作ラインを共同で設置し、量産化の検討を開始する。また、2013年度末を目途に最終合意することを目指して事業提携の協議を進めていく。

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