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日本企業が強さを見せた、燃料電池の電解質分野での米国特許総合力
パテント・リザルトが、燃料電池の電解質分野で米国特許総合力ランキングを発表し東芝が2位に。[写真拡大]
「太陽光発電を持ちあげる」ブームがひと段落し、近時注目度が高まっている燃料電池。富士経済の調査によると、2025年の燃料電池システムの市場規模は2010年比で62.0倍の5兆2943億円にまで拡大すると予測されている。この市場拡大を睨み、各企業が開発を急ピッチで進めている。こうした中、パテント・リザルトが、燃料電池の電解質分野で米国特許総合力ランキングを発表した。
2013年1月から欧米にて本格運用が始まった「共同特許分類(CPC)」を用いて実施された本調査は、1980年から2012年12月末までに米国特許商標庁で公開された燃料電池関連の電解質分野について付与された特許7556件を対象に、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」による評価を実施している。結果、1位はSAMSUNG SDI、2位が東芝<6502>、3位はパナソニック<6752>となっている。
1位のSAMSUNG SDIは、「直接メタノール形燃料電池(DMFC)」分野で注目度の高い特許を有している。2位の東芝も同様に「直接メタノール形燃料電池(DMFC)」分野で注目度の高い特許を多く有しており、現在の研究・開発の中心がこの分野にあることが窺える。一方3位のパナソニックは、「固体高分子形燃料電池(PEMFC)」分野で注目度の高い特許が見られ、本田技研工業<7267>、トヨタ自動車<7203>といった自動車メーカーでは、「固体高分子形燃料電池(PEMFC)」と「固体酸化物形燃料電池(SOFC)」に関する出願が多いのが特徴的となっている。
2011年に同社が発表した燃料電池についての米穀特許総合力ランキングでは、1位がGENERAL MOTORS、2位が本田技研工業、3位がアメリカ合衆国エネルギー省、4位はトヨタ自動車、5位にパナソニックとなっている。今回の結果と合わせてみると、いずれのランキングでも日本企業が上位に多くランクインしており、燃料電池における日本企業の強さが目立つ結果となっている。しかし同時に、いずれのランキングでも日本企業はトップに立てておらず、現在の優位性が今後も続くとは言い切れない。液晶パネルなど、他国企業に株を奪われた分野と同じ轍を踏まぬよう、研究・開発への注力とともに、競争力を失わぬ戦略を期待したい。(編集担当:井畑学)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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