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富士通、半導体事業の再編方針を発表 工場の移管・集約などを検討
富士通と富士通セミコンダクターは7日、「半導体事業の再編と方針」を発表した。
富士通と富士通セミコンダクターは、2009年度より独自のファブライト事業モデルを追求した半導体事業を推進してきた。しかし2011年度以降、市況の急激な悪化や競争環境の変化により売上が減少するなど、極めて厳しい環境に直面している。こうした中で、富士通セミコンダクターの岩手工場・LSI後工程事業の譲渡などの対応を取り、ファブライト戦略を加速してきた。また、半導体事業のさらなる発展に向けて、富士通と富士通セミコンダクターがこれまで培ってきた技術・ノウハウをベースとしてより良い事業体制を構築するために、他社との協議も含めて様々な検討を進めてきた。
今回、システムLSI事業でのファブレス新会社設立および富士通セミコンダクターとパナソニックのシステムLSI事業の統合、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(TSMC)を含む新ファウンドリ企業への三重工場の移管という方針を決定し、具体的な検討に入った。今後、富士通のシステムLSI事業は、統合により事業規模を拡大して独立した企業として運営されることになる。
また、マイコン・アナログ事業は顧客への安定供給とビジネスの発展を目指し、今後あらゆる可能性を検討していく。さらに、再編に伴う固定資産の減損を行った後で、稼働率の改善が課題となっている基盤系工場などは会津若松地区へ集約して生産能力や人員規模の適正化を行い、コンパクトな事業体へ転換して経営を安定化していく。
具体的には、富士通とパナソニックは、外部投資家の出資を得て、システムLSIの設計・開発などを手掛けるファブレス形態の新会社を設立し、富士通セミコンダクターおよびパナソニックのシステムLSI事業の設計・開発機能などを新会社へ事業移管することを基本合意した。新会社の設立にあたっては、日本政策投資銀行に新会社への出融資等を要請している。
三重工場300mmラインについては、昨今、世界のLSIメーカーは回路の設計開発に特化したファブレス企業と受託製造のファウンドリ企業に専業化が進んでいることから、今回システムLSI事業をファブレス化することに伴い、三重工場300mmラインもTSMCを含む新ファウンドリ企業へ移管することを検討している。国内外の顧客に高品質で先進の半導体製品を安定的に提供するとともに、グローバルな半導体市場において高い競争力を発揮し、持続的に発展できる新しい事業モデルを検討していく。
マイコン・アナログ事業については、これまで車載、産業、民生向け汎用MCU、パワーマネジメントLSIなどに注力し、新商品投入や販売チャネルの拡充などの施策を展開しているが、顧客への安定的な供給とビジネスの発展を目指し、今後あらゆる可能性を検討していく。
再編後、富士通セミコンダクターが持つ製造拠点は、システムLSI統合新会社の設立と現在検討中の三重工場300mmラインの移管の後、基盤系の三重200mmライン、会津若松150mmライン、富士通セミコンダクターテクノロジ(本社:福島県会津若松市)200mmラインとなる。今回の事業再編の方針の決定により固定資産を減損する。減損の後、稼働率の改善が課題となっている基盤系工場は会津若松地区へ集約し、生産能力や人員規模の適正化を行い、稼働率を向上させて経営を安定化させる。なお、事業再編の方針の決定に伴う適正化の総人員規模は富士通セミコンダクターグループ全体で約2,000人になる。
なお、富士通は、「半導体事業の再編と方針」が同社の連結業績に与える影響として、2013年3月期第3四半期に特別損失570億円を計上しており、第4四半期においても約550億円を見込んでいる。また、単独業績予測に与える影響として、2013年3月期第3四半期に関係会社株式評価損1,654億円を計上した。第4四半期においても引き続き半導体事業の構造改革を進めるため、富士通セミコンダクターについては追加の株式評価損が発生する可能性があるという。
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