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キャピタル・ゲイン狙いでもインカム・ゲイン選好でリスク極小化=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
株式市場の一部では、昨今の株高を早くも「アベノミクス・バブル」などと皮肉っているようである。日本経済は、「アベノミクス」効果でまだ何も手に入れていないにもかかわらず、日経平均株価の週足は、昨年11月14日の野田佳彦前首相の解散総選挙以来、連騰に次ぐ連騰で12週連続の上昇となり、「岩度景気」の1958年12月~1959年4月の17週連続に迫る54年ぶりの大記録を達成したからだ。
この皮肉は、大方は、今回の強気相場に乗り遅れてしまった投資家の負け惜しみか、急騰場面で売りを仕掛けてかつがれてしまった売り方の嘆き節だろうとは察しはつくが、ただ今回の3月期決算会社の第3四半期(4~12月期、3Q)決算の動向とその株価反応をみると、かなりバブリーとなっていることは否定できないところである。
典型例は、コマツ <6301> と商船三井 <9104> である。両社ともこの3Q決算発表時に3月通期業績を再下方修正、商船三井に至っては、連続赤字幅を悪化させ未定としていた期末配当をゼロとして年間配当は無配転落した。ところが株価は、いずれも発表直後は売り殺到となったものの、その安値から切り返しあれよあれよという間に前日比プラスで引けてしまった。投資セオリーは「底値で出る悪材料は買い」と教えているが、両社株の株価ポジションは、昨年来安値から7割強もリバウンドした水準にいるのである。
バブリーな例証はこれだけではない。東証1部の1月の月間上昇率ランキングにも明らかである。トップ10のうち半分の5銘柄が、2ケタから100円台の極低位値ごろ株であり、さらに4銘柄が無配株である。東証マザーズの上昇率ランキングの上位にバイオ株がズラリと顔を並べているのを含めて、買うから上がる、上がるから買うの「ご意見無用相場」が繰り広げられたと断じてもおかしくない。買い材料もその背景説明も、ましては買うための投資尺度もメチャクチャに壊れていて、合理的なコメントができなければ、これはバブルと警戒しなければならないはずだ。上方修正をする銘柄があり、バリュー的に割安な銘柄も多いなか、無理して火中の栗を拾うことはないのである。
米国市場では、前週末のNYダウが、約5年5カ月ぶりに1万4000ドル台を回復し、史上最高値まであと160ドルと迫ってきた。もし今週、NYダウが最高値を取るようだと、煽られてこの「アベノミクス・バブル」にさらに拍車がかかるのはほぼ確実だろう。ただこの面で少々、気懸かりなことがある。日経平均株価の連騰をリードしてきた外国人投資家の動向である。
これまでは外国人投資家は、日本株の好パフォーマンスに触発されて、日本株の「持たざるリスク」を解消するために日本株の組み入れ比率をアップさせてきた。それが、NYダウの最高値更新で米国株が日本株をアウト・パフォームするようだと、「日本株売りの米国株買い」の逆流が起きないかということである。レパトリエーション(本国送金)が高まるようだと、折角の円高修正もピークアウトし兼ねない危険性がつきまとう。油断できないのである。
そうなった場合の相場の方向性も、注意を要する。上方修正銘柄も下方修正銘柄も同様にゴチャゴチャに上昇すると期待する無差別買いや、無配株が上昇率ランキングの上位を占めるバブリーな相場も転機を迎えるはずで、選別物色はより強まることになる。付和雷同型の追随買い、短期の利ザヤ狙いは、リスクを極大化するばかりで、しっかりした投資尺度をベースに銘柄セレクトをすることがより求められる。
そこで投資の原点に立ち帰って、キャピタル・ゲイン(値上がり幅狙い)でなくインカム・ゲイン(配当利回り買い)を再考してみたい。折から2月相場入りである。2月決算期会社の期末配当、8月決算会社の中間配当の権利取りを狙えば、所有期間利回りからもそれなりのリターンが計算できることになり、リスクは極小化できる。もし万が一、相場経験則通りに相場全般が「節分天井」となって調整入りとなっても、この配当取りの銘柄の利回りは逆に高くなる副次効果も出てくる。ここは2月・8月決算会社の好配当利回り銘柄に投資ターゲットを絞るところだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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