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治安への不安は拭えないものの、イラクへの進出は広がるのか
世界第5位の確認石油埋蔵量を有し、輸出のほぼ100%が原油、GDPの約5割が石油部門となっているイラク。日本もイラクとの関係は原油関連が主であり、昨年も国際石油開発帝石<605>が、イラク共和国ブロック10鉱区(探鉱鉱区)に係るサービス契約をイラク石油省傘下の南部石油公社と締結したと発表している。このイラクに対し、原油関連以外で積極的に関わっている企業がある。
島津製作所<7701>もそうした企業の一つである。近時では1月15日にも同社が、イラクで医療用X線透視撮影システム106式、医療用X線撮影システム27式を受注し、2013年2月から据付けを開始すると発表している。総額約15億円となる大型案件だという。
島津製作所は1978年にイラク政府の要請に応える形で、日本の医療機器メーカーとして初めてバグダッドに事務所を開設。イラク保健省傘下の病院を主とした医療整備案件等を中心に活動していた。そして、1980年から8年間におよぶイラン・イラク戦争の間も事務所を維持し続け、1990年までに2000台以上のX線診断装置を納入したという。1990年の湾岸戦争時には事務所を閉鎖して一時撤退したものの、2003年以降は現地代理店を設定する形で再参入し、その後は日本政府の復興支援を通じて医療機材の更新を実施していた。こうした長年にわたる実績もあり、2006年には保健省向けにX線一般撮影装置110式を一括納入、2007年にも回診用撮影装置50式を一括納入しており、今回の受注に繋がっている。
石油依存の産業構造からの脱却を図っているイラクは、イラク戦争にて荒廃した生活基盤の再建が急務であり、電力、水・衛生分野等のインフラ整備の需要は高い。依然として治安回復が遅れており不安定な状況にはあるものの、2007年夏以降の治安情勢は大幅に改善されているという。上下水道や鉄道など、インフラ輸出に力を入れようとしている日本であるだけに、今後イラクへの進出が活発化するかもしれない。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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