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東芝、新方式の不揮発性磁性体メモリを開発 世界最高の低消費電力性能
東芝は10日、スマートフォンやタブレットなどに搭載されているモバイルプロセッサ用キャッシュメモリ向けに、世界最高の低消費電力性能を実現した新方式の不揮発性磁性体メモリ(STT-MRAM)を開発したと発表した。
新開発のSTT-MRAMは、世界で初めて、キャッシュメモリに適用されているSRAMよりも低消費電力での動作を実現した。さらに、新型STT-MRAMのキャッシュメモリを搭載したプロセッサ用の高精度シミュレータを開発し、実際にプロセッサ上でソフトを動作させた際の消費電力が、標準的なモバイル向けプロセッサと比較して3分の1程度に低減できたという計算結果を示した。
今回開発したのは、垂直磁化方式のSTT-MRAMをベースにメモリ構造を改良すると同時に、30nm以下まで素子の微細化を進めた新方式のSTT-MRAM。従来のSTT-MRAMでは省電力化と速度向上は二律背反の関係にあったが、新開発のSTT-MRAMは消費電力を下げつつ同時に動作速度を上げることに初めて成功し、動作時の電力消費量を従来の10分の1程度に低減した。さらに、メモリから漏れ出す電流(リーク電流)のパスが無い回路を新たに設計することで、動作状態でも待機状態でもリーク電流が常にゼロになるノーマリオフ回路構造を実現した。
モバイルプロセッサは、高性能化に伴い内部のSRAM(主にキャッシュメモリ)の容量も増大しており、動作状態と待機状態それぞれのメモリのリーク電流に起因する電力消耗の増加が課題だった。SRAMの代替メモリとしてMRAMが検討されているが、これまで開発されてきたMRAMは不揮発性のため待機状態でのリーク電流は減るものの、動作状態での電力が非常に大きく、結果的にSRAMより消費電力が大きくなるという問題があり、これがプロセッサ適用の障壁となっていた。
東芝は、今回、SRAMの代替となり得る高速化と低消費電力化を両立したSTT-MRAMを開発することでプロセッサの電力削減の可能性を示すとともに、今後も開発した新型STT-MRAMにさらに改良を加えるなど実用化に向け研究開発を加速していく方針。
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