【話題】2012年師走相場の投資戦略

2012年12月3日 09:40

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

【「選挙」、「財政の崖」、「ミサイル」など波乱抱え玄人好み相場】

■自民の圧勝なら日経平均1万円も

  12月に入り株式市場は師走相場を迎えた。餅代稼ぎの時期である。年末高で日経平均株価1万円大台の回復も期待されるだろう。一方では、衆院選後の新政権の枠組み、米国の「財政の崖」を巡るチキンレース、北朝鮮のミサイル発射問題など波乱要因も少なくない。強弱材料が交錯して相場が乱高下する可能性もあるだろう。ただし大きな値幅は大きな利益を得るチャンスでもあり、投資戦略次第で餅代稼ぎの好機となりそうだ。

  国内では今週4日に衆院選が告示され、16日の投開票に向けて熱戦・舌戦が繰り広げられる。安倍晋三自民党総裁のデフレ脱却に向けた金融緩和や財政出動に関する発言を好感した買い、いわゆる安倍トレードの賞味期限は16日の投開票までとの見方も多い中、株式市場の関心は選挙後の新政権の枠組みと重点政策に集中している。

  世論調査を基にすれば支持率第1位の自民党が比較第1党となり、自民党中心の新政権が誕生する可能性が高まっている。ただし、自民党と公明党が両党合計で衆院の過半数を獲得できなかった場合はもちろん、たとえ両党合計で衆院の過半数を獲得しても参院では両党合計で過半数に達していないため、安定政権に向けて第三の党・勢力との連立や連携が欠かせない見通しである。第3極結集の動きについては結局、日本維新の会と日本未来の党の二つの勢力に分かれて第3極を争うことになったが、新政権の枠組みとして第三の党・勢力が現与党の民主党になるのか、それとも第3極の勢力になるのかが注目される。

  各党の選挙公約が出揃い主要メディアの取り上げ方を見ると、デフレ脱却に向けての物価目標や日銀との政策協定を中心とする金融政策、原発の稼働や廃止時期を巡る原発・エネルギー政策、TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加姿勢などに焦点が当たっているようだ。そして党首討論、記者会見、メディアへの出演などを経て、選挙公約発表前の発言や発表した選挙公約を軌道修正するような発言も聞かれる。第3極の政党の場合は基本政策が固まっていないというのが実情だろうが、選挙後の連立や連携を睨んだ動きとも解釈されるだろう。

  いずれにしても新政権の枠組みは16日の投開票の結果、各党の獲得議席数と勢力図次第となるが、新政権の枠組みによっては重点政策が微妙に変化する可能性もあるだけに、各党首発言などにも注目して選挙後の新政権の枠組みを睨みながら、株式市場の方向性や物色対象を検討することが必要だろう。

  米国の「財政の崖」問題に関しては、最終的には議会が合意に持ち込まざるを得ないとの見方が優勢であり、株式市場でも現時点ではそれほど警戒感を強める動きは見られない。しかし昨年夏を思い出しておきたい。昨年7月後半から8月前半にかけて米国の「連邦債務上限引き上げ」問題を巡り、米国債のデフォルト(債務不履行)や格付け引き下げが懸念材料とされた局面でも、当初は米議会で与野党が合意せざるを得ないとの楽観論が優勢で、株式市場での警戒感もそれほど強いものではなかった。しかし期限切れ直前まで与野党協議が難航したことで米国株式市場が大幅に下落し、外国為替市場ではリスク回避の円買いで戦後最高値水準に上昇した。これを受けて日本の株式市場も大幅に調整した。

  今回の「財政の崖」問題に関しても、与野党から合意に向けた前向きな発言が聞こえてくる一方で、現時点では議会での実質的な協議の進展は見られていない。タイムリミットとされるクリスマスまでチキンレースが繰り広げられる可能性は十分にあるだけに、昨年夏のようにタイムリミットが接近するに連れて、警戒感を強めて相場が崩れる可能性もあるだろう。

  外国為替市場の動向も重要なポイントになるが、こうした懸念材料を考慮すると年末高期待とはいえ、輸出関連などの主力銘柄に関しては一時的に上値が重くなる可能性がありそうだ。懸念材料を通過するまでの餅代稼ぎの物色としては、やはり主力銘柄を避け、公共投資関連、医療・バイオ関連、ネット・SNSゲーム関連、厳冬消費関連などのテーマ性で、値動きの軽い銘柄を中心とする投資戦略を考えたい。

  なお、北朝鮮が12月10日~22日の間の衛星打ち上げ(実質的な長距離弾道ミサイル発射実験)を予告したことで防衛関連、中央自動車道でトンネル天井板崩落事故が発生したことでトンネルや橋梁の点検・補強関連が当面の物色材料となりそうだ。いずれも自民党の選挙公約に合致するテーマでもある。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【アナリストの眼】強基調継続を想定、物色の好循環も焦点、米「財政の崖」注視(2012/12/02)
【12月の株主優待】サーティワン、メディビック、アマナ、アルテサロン(2012/12/02)
急騰銘柄を徹底予想する日刊株式投資情報新聞(メルマガ無料)好評!会員が急増中(2012/07/20)
プロの記者が急騰銘柄を徹底予想!日刊株式投資情報新聞(無料)メルマガ登録受付中!(2012/07/20)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事