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■制度の運用も考慮すること
等級制度をどんな構成にするかによって、実際に制度を運用する場面ではそれが大きな違いとなって表れてきます。
どういうことかというと、例えば年功的な運用を弱めた制度にした場合、ランクアップに際しては昇格要件を設定し、それを満たしているかを判定するために、何らかの評価や審査という手続きが必要になります。
審査の過程を通じて、在籍等級と担っている職務との適合性や適格性を測ったり、本人の意識づけを行うなど、動機づけする上では良い機会になりますが、審査期間を要しますし、審査に関わる人の時間や労力など、制度運用の負荷は高くなります。
逆に年功的な運用が強い制度であれば、毎年一定のランクアップを基本にするので、毎年少しずつ進歩している実感を持たせることができ、制度の運用負荷はそれほどではありませんが、昇格、昇級のイベントとしての要素は弱まり、向上心の低下やマンネリに陥る恐れがあります。機械的に昇格させる意識が強くなることで、在籍等級で本来求められる役割と、実際に担っている仕事が乖離していく恐れもあります。
これはある企業での事例ですが、できる限り年功的要素を排除した実力主義の制度にしたいということで、等級制度でも相応の審査基準や手続きを定めた仕組みとしましたが、実際に運用してみると想定以上に審査対象者が多く、制度の主旨通りの運用ができずに形骸化し、年功的な制度と変わらないか、ヘタをすればそれよりも悪いというような状況に陥ってしまいました。
これは人事制度構築全体でも言える事ですが、制度の理念や構成、仕組みとともに、やはり制度の運用負荷や、自社の対応力といった部分も考慮しておいた方が良いでしょう。
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