イタリア地裁、地震予知失敗で学者ら7人に対し実刑判決を言い渡す

2012年10月24日 13:40

印刷

記事提供元:スラド

taraiok 曰く、 2009年に発生したイタリア中部地震で大地震の兆候を警告できなかったとして、イタリアのラクイラ地裁は22日、防災庁付属委員会メンバーの地震学者ら7人に対し、禁錮6年の実刑判決を言い渡した。地震予知の失敗で刑事責任が争われるだけでなく、求刑の禁錮4年を上回る内容。同地震による最大の被災地での裁判とはいえ、非常に厳しいものとなっている。なお、イタリアの刑事裁判では判決理由は後日開示されるため、裁判所の判断の詳細は不明だという。被告側は控訴する方針を明らかにしている(東京新聞本家/.)。

 この判決に対しての反響も大きい。イタリアの地質学者マリオ・トッツィ氏は「今後は群発地震のたびに、専門家が住民避難を命じざるを得ない」と判決を批判、同国の防災諮問機関「防災委員会」のルチャーノ・マヤーニ委員長は判決に抗議して辞任するという事態に陥っている。

 また、世界の科学界からも、これから専門家は地震予知に協力できなくなると懸念の声が噴出している。米民間団体「憂慮する科学者連盟」のマイケル・ハルパン氏は、米政府に判決を非難するよう求めている。日本でも、「地震防災対策強化地域判定会」の阿部勝征会長が「研究者がなぜ実刑を受けなければならないのか、よくわからない」とし、「一般に地震予知は現時点では難しいが、原理的に不可能と証明されているわけではなく、チャレンジに値する重要な研究と思う」というコメントを出している(読売新聞の記事1読売新聞の記事2)。

 スラッシュドットのコメントを読む | サイエンスセクション | ニュース | サイエンス | 地震

 関連ストーリー:
日本学術会議、日本では高レベル放射性廃棄物の最終処分は不可能と回答 2012年10月22日
文部科学省、首都直下地震で想定震度を震度 7 に修正 2012年03月09日
首都直下型地震の発生確率、「今後4年で70%」から「今後4年で50%以下」に修正 2012年02月08日
地震を予測できなかった専門家、過失致死罪で起訴される 2011年05月27日

 

※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。

関連記事