日本海水、兵庫県の赤穂工場で木質バイオマス発電事業に参入

2012年10月4日 12:34

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 エア・ウォーターグループの株式会社日本海水は3日、赤穂工場(兵庫県赤穂市)の発電設備新設に伴い、電力事業に参入すると発表した。

 日本海水は製塩業界におけるリーディングカンパニーであり、年間40万トンを生産している。塩事業の他、環境事業をはじめとし、水事業や肥料を中心とした農業事業など、製塩事業で培った技術をベースに新規事業開発に取り組んでいる。

 塩事業においては、製塩工程で大量の電力を使用するため、従来から発電設備を保有している。今回の発電設備新設は、既存の設備が老朽化したために設備更新を行うもの。更新に当たっては、発電能力を増強することにより、自社工場で消費する電力に加え、新たに外販を開始することから、本格的な電力事業参入の第一歩となる。

 設備更新に当たっては、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の適用最大化と環境面での社会貢献を最優先に考え、燃料を従来の石化燃料(PC炭)から木質バイオマス、天然ガスへ転換することとした。この結果、地球温暖化対策推進法上のCO2の発生がほとんどなくなり、赤穂市全体の発生量は約4%削減される。

 さらに、NOx、SOxの排出量削減や重油レスによる一般危険物取扱の指定解除、再生可能エネルギーによる電力供給が可能となるなど、環境改善に大きく寄与することになる。また、兵庫県、岡山県の林業・木材産業振興、赤穂市への天然ガス本管延伸、さらには、関西地区の電力不足にも貢献することになる。

 同バイオマス発電設備の最大発電出力は16,530kW、天然ガス発電設備は7,700kW。今後、2015年1月の営業運転開始をめざし、2012年12月に着工する計画。

 なお、日本海水は今後、讃岐・小名浜両工場においても電力事業を展開する方針で、製塩を通じた電力事業を同社のコア事業として拡大していく。

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