東芝など、風力などを組み合わせたバイナリー発電に関する技術開発に着手

2012年9月12日 11:51

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 東芝、神戸製鋼所と慶應義塾大学は11日、環境省が今年5月に公募した「平成24年度地球温暖化対策技術開発・実証研究事業(補助事業)」に関して、「風車・太陽熱・バイオマスボイラを組み合わせたバイナリー発電に関する技術開発」の補助事業先に採択されたと発表した。

 今回開発するシステムでは、再生可能エネルギーである風力・太陽熱・バイオマスを熱エネルギー源として組み合わせ、沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回すバイナリー発電を行うことにより、自然条件の変化にかかわらず、安定した電力に加え、温水の供給を可能とすることを目指す。なお、同システムの総工費は約6億8,000万円で、その約半分を補助金として環境省から受ける予定。

 風力・太陽熱などの再生可能エネルギーは、気象条件等によって発電出力の変動が大きく、送電網への影響が大きいことが課題となっている。今回の技術開発では、東芝は太陽熱集熱装置、および発電システム全体を制御するシステム制御開発に加え、開発の全体の取りまとめを行う。慶大は、東芝と共同で風力発電の変動を抑えるソフトウエアを開発し、不安定な風力発電の出力を平準化する制御技術開発を行うとともに、風力発電による電力の変動分を太陽熱集熱装置の出力に加算するシステムを開発する。また、神戸製鋼は太陽熱集熱装置と木質バイオマスを熱源とするバイナリー発電システムの開発を行う。3者によるこれら技術開発により、自然条件の変化にかかわらず、安定した電力と温水の供給を可能とするシステムの開発を目指す。

 同システムは、兵庫県、洲本市、南あわじ市及び淡路市が推進する地域活性化総合特区「あわじ環境未来島特区」事業の一環として、南あわじ市に建設する。今年度は土地の整地などを行い、2013年度春から順次システムを据付稼働し、2014年度末まで実証試験を行う。風力発電設備は1.5MWの既存の風力発電設備の出力を流用し、新たな風車建設は行わない。なお、地元自治体である兵庫県および南あわじ市から、今回の研究開発に関する協力を得る予定。

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