寺山修司の写真展「犬神家の人々」開催 - 「写真とは『真を写す』のではなく『偽をつくる』のだ」

2012年7月31日 19:05

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記事提供元:ファッションプレス


寺山修司幻想写真館「犬神家の人々」が、寺山修司記念館開館15周年、ポスターハリス・カンパニー創立25周年記念として開催される。会期は、8月4日(土)~9月2日(日)。


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寺山は、1974年にギャルリーワタリ(現:ワタリウム美術館)で、初の写真展「寺山修司幻想写真館 犬神家の人々」を開催。翌1975年に発表された、寺山の最初の写真集『寺山修司幻想写真館◎犬神家の人々』は、国内のみならず、海外でも大きな反響を呼び、ヨーロッパ各地で写真展が開催された。今回の企画展では、そのヨーロッパの巡回展をプロデュースした、故弘子・ゴヴァースのパリの自宅に保存されていた当時の写真を中心に、約80点の作品を公開する。



詩人、歌人、劇作家、映画監督など、様々なジャンルで活躍し、写真家の森山大道、立木義浩、篠山紀信、沢渡朔、鋤田正義、須田一政らとコラボを続けていた寺山は、突然カメラマンになろうと決意し、「アラーキー」こと荒木経惟に弟子入り。その後、演劇公演の合間をぬっては写真撮影に取り組み、多くの作品が生み出されたが、日常の中から真実を切り取る作業ではなく、限りなく嘘の世界を創り込むことで独特の写真を創り出していった。例えば、「にせ絵葉書シリーズ」は、外国の古い絵葉書に興味を覚えた寺山が、自分で撮った写真に不思議な手紙文を書きつけ、世界中から集めてきた豪華な切手を貼り、よごれやシミをシルクスクリーンで印刷して、特注のスタンプを押して作成。写真に「偽」を貫く寺山の精神が強く反映された作品だ。



また、8月11日(土)にはハービー・山口(写真家)×森崎偏陸(元天井棧敷)×九條今日子(寺山修司元夫人)によるギャラリートークを開催。ハービー・山口は、ヨーロッパでの寺山の撮影助手を務め、森崎偏陸は全ての撮影に立ち合った。特別展示として、ハービー・山口撮影の寺山ポートレイト(撮影風景)写真も展示。



写真にも独自の世界観を貫いた寺山修司。「言葉の錬金術師」以外の彼の才能を垣間見る事ができる展覧会だ。



【アーティストプロフィール】

寺山修司(Shuji Terayama)

1935年12月10日青森県生まれ。18歳で短歌研究新人賞特選「チェホフ祭」を受賞し、歌壇に鮮烈にデビューする。1967年には横尾忠則、東由多加、九條映子らと演劇実験室「天井棧敷」を結成。海外でも多数公演を行い高い評価を得た。詩人、エッセイスト、小説家、評論家、作詞家、映画監督、劇作家、写真家、競馬エッセイなど。1983年5月4日47歳で急逝。



【展覧会概要】

■寺山修司幻想写真館「犬神家の人々」

会期:2012年8月4日(土)~9月2日(日)

休廊日:月曜日(8月6・20・27日) 夏季休暇:8月13日(月)~15日(水)

開場時間:13:00~19:00

会場:ポスターハリスギャラリー

住所:東京都渋谷区道玄坂2丁目26番18号 朝香ビル103号

入場料:一般500円/学生300円(半券提示で会期中何度でも再入場可)

※ 2012年に開催の寺山修司作・原作・脚本・監督の演劇・映画作品および寺山修司記念館のチケットを提示すれば、1回無料

予約・問合せ先:ポスターハリスギャラリー 

TEL:03-5456-7218 



■ギャラリートーク

日時:2012年8月11日(土)17:00~

定員:限定40名

参加費:¥1500円(1ドリンク付)

※要予約


※本記事はファッションプレスニュースから配信されたものです。ファッションプレスでは、ブランド、デザイナー情報、歴史などファッション業界の情報をお届けしています。

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