IHI、大気圏再突入を撮影できるデータ収集装置「i-Ball」を開発

2012年6月27日 12:03

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再突入データ収集装置「i-Ball」(画像:IHI)

再突入データ収集装置「i-Ball」(画像:IHI)[写真拡大]

 IHIは26日、同社の子会社であるIHIエアロスペース(東京都江東区)が、大気圏再突入を撮影できるデータ収集装置「i-Ball」を開発したと発表した。

 「i-Ball」は、HTVなどの宇宙機が大気圏へ再突入する際のデータを収集するための装置で、収集したデータは宇宙機の破壊現象の特定による安全性の向上や再突入機の設計のために役立てられることが期待されている。なお、今回開発した「i-Ball」は、宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)に搭載される予定。

 「i-Ball」は、宇宙機やロケットとともに大気圏に再突入し、搭載されているカメラにより、宇宙機やロケットが大気圏に突入する際の燃え尽きる状況を撮影する。また、「i-Ball」には様々なセンサも搭載されており、宇宙機が大気圏に突入する際の温度や加速度などのデータや、燃え尽きずに海面に着水する宇宙機の部品の位置などの情報収集を行う。

 宇宙機などが大気圏に再突入する際、耐熱性の高い部品などは燃え残り、部品の一部が海上に落下する。これまでは部品の落下位置が正確に把握できなかったため、安全確保のために航空機や船舶の立ち入りを広範囲にわたり制限していた。「i-Ball」で落下位置などのデータを収集することにより、より正確な落下位置を把握することが可能となる。

 IHIエアロスペースは、1980年から帰還システムの開発を行っており、これまでに宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力し、様々なプロジェクトに携わってきた。2010年6月に小惑星イトカワからの帰還を果たした「MUSES-C(はやぶさ)」の再突入カプセルもJAXAに協力し、同社が開発・設計・製造を行い、世界初となる小惑星からのサンプルリターンを達成した。

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