三菱商事、日本郵船、東電が官民一体で豪LNGプロジェクトに参画

2012年6月19日 17:23

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ウィートストーンLNGプロジェクトの位置(画像:三菱商事)

ウィートストーンLNGプロジェクトの位置(画像:三菱商事)[写真拡大]

 三菱商事は18日、米シェブロン社他がオーストラリアで推進するウィートストーンLNGプロジェクトに、日本郵船及び東京電力と共同で参画すると発表した。

 今回の参画は、新たに設立されたPE Wheatstone社(本社:オーストラリア西豪州パース市、以下PEW社)を通じて同プロジェクトの事業権益(ガス田鉱区開発権益:10%、LNGプラント事業権益:8%)及び同プロジェクトから生産される液化天然ガス(LNG)の一部を取得するもの。参画にあたっては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の出資及び債務保証の対象事業として採択を受けており、官民一体となって日本向けエネルギー資源の安定確保に取り組む。

 同プロジェクトは、シェブロン社が操業を担うLNGプロジェクトであり、2016年末のLNG生産開始を目指して現在建設作業が進行中。同プロジェクトからは年間890万トンのLNGが供給される予定。

 なお、東京電力は2009年12月に、シェブロン社との間で年間約310万トンのLNGを調達すること、及び、事業パートナーとして同プロジェクトに参画することにつき基本合意していた。その後、昨年3月の東日本大震災を受け、同プロジェクトに対し単独で参画することが困難となった東京電力より、日本向けエネルギー資源の安定確保の重要性に鑑み、LNG船共同保有・運航事業等を通して長期のパートナーシップを確立している三菱商事及び日本郵船に対し、東京電力の資金制約を勘案しつつ、共同で参画することにつき提案がなされた。そして三菱商事は、詳細な技術・法務・財務等の評価を実施した結果、同社の事業戦略に合致すると判断し、同プロジェクトに参画することを今回決定した。

 また、三菱商事、日本郵船、東京電力は、同プロジェクトへの参画が日本へのエネルギー安定供給にも資すると考え、官民が協力して貴重なエネルギー資源を獲得するために、JOGMECに対して支援制度の適用を申請し、審査の結果、出資及び債務保証の対象事業として採択されるに至った。さらに、民間銀行及び国際協力銀行(JBIC)からも資金供与を受けることで現在協議中だという。

 なお、今回の参画により、権益比率に相当するPEW社の持分である年間約70万トンのLNGは東京電力向けに供給されることになる。これにより、2011年7月に東京電力がシェブロン社他と契約締結済の年間約310万トンのLNG及び18日付で東京電力が発表したシェブロン社から直接購入する追加数量(年間約40万トン)も含め、同プロジェクトから合計で年間約420万トンのLNGが東京電力向けに供給される見通し。

 クリーンなエネルギー資源である天然ガスの需要は世界的に伸び続けており、諸外国との資源獲得競争が益々激化する状況下、日本国内のエネルギー関連企業が、政府系機関の資金供与を受けながら、官民一体となってエネルギー資源の確保に乗り出すことは極めて大きな意義を持つ。

 同プロジェクトは、2011年9月に最終投資決定が下されており、かつ、地政学的優位性を持つオーストラリアにおいて経験豊富なシェブロン社がオペレーターを務める新規LNG事業であることからも、プロジェクトの完工リスクや操業リスクが低く、日本のLNG安定調達において重要な供給源となるもの。

 三菱商事は、同プロジェクトへの参画を通じ、日本郵船及び東京電力と共に長年にわたって培った各社の上流から下流(天然ガス開発・生産事業、天然ガス液化事業、LNG輸送事業、LNG受渡事業)にわたるLNGバリューチェーンにおけるノウハウと経験を互いに活かすことで信頼性の高いLNG供給体制を構築し、日本向けのエネルギー資源の長期安定確保に貢献する。

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