三菱化学、鹿島のエチレン設備1基を停止 基礎石油化学事業を構造改革

2012年6月12日 10:59

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 三菱ケミカルホールディングスの事業子会社である三菱化学は11日、今後加速すると見込まれる石油化学製品の高機能・高付加価値化へのシフトに即応できる体制の構築に向け、鹿島事業所(所在地:茨城県神栖市)における基礎石油化学事業の構造改革を実施すると発表した。

 同構造改革に伴い、鹿島事業所のエチレン製造設備1基(生産能力は年39万トン)とベンゼン製造設備1基(同9万トン)を2014年の定期修理をもって停止する。また、約98億円を投資し、他の設備を増強するなど設備対応を行う。当該設備対応は2013年の定期修理時に完了する予定。これらにより、鹿島事業所のエチレンの生産能力は現在の年88万トンから年54万トンに、ベンゼンの生産能力は現在の年27万トンから年18万トンに縮小される。

 国内の石油化学事業は、中東での大規模生産設備の増強、中国での供給能力拡大、北米を中心としたシェールガスの台頭などの影響を受け、汎用品から高機能・高付加価値化へのシフトが加速している。三菱化学は2009年以降、EO(酸化エチレン)センター化、EC(エチレンカーボネート)の増産、ポリプロピレンの増産、日本合成化学工業社の連結子会社化等、高機能・高付加価値化へのシフトを進めてきた。他方、塩ビ事業の撤退、ナイロン事業の売却、テレフタル酸事業の国内撤退及びグローバル対応、スチレン事業からの撤退など、汎用品を中心とした事業の整理・縮小も進めてきた。加えて、2011年に旭化成ケミカルズ社と西日本エチレン有限責任事業組合を設立し、水島地区(岡山県倉敷市)における両社のエチレンセンターの統合、一体運営に向け検討を進めている。

 このような施策に加え、今回三菱化学は、鹿島事業所において基礎石油化学事業の構造改革実施を決定した。同構造改革により、高機能・高付加価値化へのシフトに対しフレキシブルに対応できる生産体制の基盤が整うことになる。また、同構造改革に伴い、需要縮小時においてもエチレンプラントの高稼働率維持が可能となることや固定費の年間約40億円の削減等が見込まれるという。
 

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