トヨタ、プリウスPHVから住宅に電力供給するシステムを開発

2012年6月5日 13:07

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V2Hによるエネルギーマネジメントの概要図(画像:トヨタ自動車)

V2Hによるエネルギーマネジメントの概要図(画像:トヨタ自動車)[写真拡大]

 トヨタ自動車は4日、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)などの電気利用車両と住宅との間で電力を相互供給するシステム(V2H)を新たに開発したと発表した。2010年4月に始まった「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」(豊田市プロジェクト)の一環として、同プロジェクト実証住宅の約10世帯を対象に、プリウスPHVを使って2012年末からV2Hシステムの供与を開始する予定。

 今回開発したV2Hシステムは、車両への充電はもとより、車両に蓄えた電力を住宅へ供給することもできるため、双方向の電力供給が可能となる。PHVに搭載した交流・直流変換器(AC100Vインバータ)により車両から交流電力(AC)を供給するとともに、車両・充電スタンド・住宅の間のデータ通信により電力の流れを制御する。この新たな仕組みにより、家庭内・地域内の太陽光発電を利用して作られた低炭素の電力(グリーン電力)や低コストの夜間系統電力を、住宅に設置した充電スタンドを経由して車両に充電・備蓄しておき、電力需要のピーク時間帯などに車両に蓄えた電力を交流電力で家庭内に供給する。このような最適な電力の流れは、家庭内に設置されたエネルギーマネジメントシステム(HEMS)が自動制御する。

 また、災害時などには車両の蓄電池を非常用電源として利用し、手動切り替えで車両から充電スタンドを介して家庭内の照明やコンセントへ交流電力を供給することができる。PHV1台で一般家庭の日常使用電力の約4日分がまかなえるという。

 さらにPHVは、充電した電力を使い切ってもハイブリッド車としてガソリンで走行することができるため、電力を住宅に供給しても、いつでも車両として走行することができるという利点がある。

 トヨタは、国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)が定めた充電や通信などの既存規格ならびに電気の安全基準・法令を遵守しながらV2Hシステムを開発している。今後はシステム、ハードウェア、発電電力などV2Hに関わる仕様の標準化の動きを踏まえながら、V2Hシステムを広く普及させていく方針。さらにV2Hシステムとは別に、今回の取り組みで使用するPHVには、災害時の避難所などにおける利用を想定し、車両から家電製品に電力を直接供給することができる機器を装備するという。

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