イノベーションの促進

2012年5月15日 14:07

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■イノベーションを育む企業文化
 先日、住友スリーエムのCPOの方に3Mの企業文化についてお話を聞く機会があった。3Mグループから有名なポストイット等色々な新製品が開発・販売され続けるのはイノベーションを育む企業文化があることがわかった。その企業文化について説明をしたいと思う。

 イノベーションを育む企業文化のコンセプトは「社員に自由な環境で自分がしたいと思う事ができる環境がある」と思わせる事のようである。その為に

①ビジョンを周知する
・もっとも革新的な企業となり、顧客に優先的に選択されるサプライヤーになる

②先見性を大切にする
・顧客の潜在、顕在ニーズを引き出す為にマーケティングを大切にする
・カスタマーテクニカルセンターで技術の見える化をする
 まさに、ドラッカーが提唱しているマーケティングとイノベーションの両輪をまわしている。

③ストレッチゴールの設定
・実力値より少し背伸びした目標値を設定
 もとGEのジャックウエルチが提唱したストレッチ目標である

④行動の自由/エンパワーメント
・自主性と失敗の許容をする 
 有名な15%カルチャーの推進である

⑤コミュニケーション/ネットワーキング
・社員のアイデアを生み出す為の非公式の社内ネットワークの設定

⑥表彰と認知
・成果をあげた社員には表彰の形で報いる
 6項目の仕掛け、仕組がある。

■イノベーションの促進方法とは
 この3Mのように色々な企業にベンチマークされる優秀な会社はトップダウンの仕掛けだけではなく、イノベーションが促進される仕組、組織文化があると考える。以上の内容をイノベーションの促進方法として展開してみると

第1:イノベーションが必要な背景を明確にする
 組織に危機感、必要性が認識されないとイノベーションがおこらない

第2:イノベーションをおこす為のビジョンを明確化する
 会社、組織としての目指す姿を明確化する必要がある

第3:イノベーションのテーマを設定する
 具体的なイノベーションのテーマを設定する

第4:ストレッチゴール、目標を明確化する
 目指すべきイノベーションテーマの目標を設定する

第5:アイデアを生み出す為の行動の自由を促進する
 自由な発想ができる環境を整える

第6:組織のコミュニケーションを活発化させる
 コミュニケーションが活発化するネットワーク環境を整える
 オフサイトミーティングも大切

第7:結果に対して会社から評価する
 社員の頑張りに対して表彰、昇給、昇格で報いる

 この7項目の仕掛けをコンサルティングの現場でも意識して実践していきたい。

著者プロフィール

中山 幹男

中山 幹男(なかやま・みきお) 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役

大阪大学工学部機械学科卒業後、大手自動車メーカにおいて商品企画、設計・開発、品質管理、環境対策業務等に従事。その後大手コンサルティングファームの経営コンサルタントとして7年間勤務。
韓国の大手家電メーカを手始めに製造業を中心としたコンサルティングを実施する。1997年に「現場主義を貫き、行動的に活動して成果を出す経営コンサルティング」を目指し、A&Mコンサルトを設立し現在に至る。激変の環境変化の中で、企業の永続的な存続を前提に戦略構築、仕組改革、組織風土改革のトライアングル視点で企業の体質強化を図る。
会社URL  http://www.a-and-m.biz

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