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今回からは「人事制度の目的」ということで、中小企業なりの着眼点という部分で、私が現場で経験してきた内容を交えてご説明していこうと思います。
■「人事制度の目的」としてよく聞く事柄
私が多くの中小企業経営者の方々とお話をしていて、人事制度に求めるものとしてよく聞くのは、「成果を上げた人に報いる」というところです。程度の差はあるものの、何らかの形でこれが取り上げられることが多いです。
人事制度作りを考える時、まず始めに行き当たるキーワードに「成果主義」と「目標管理」があります。成果を上げた人に報いる制度が「成果主義」であり、自分で決めた目標を主体的に管理することで、やる気と成果につながる制度が「目標管理」であると言われます。「成果主義」を実践するための評価ツールとして、「成果主義」と「目標管理」がセットで導入されていることが多いと思います。
ただ、実際に「成果主義」と「目標管理」について調べてみると、賛否両論でそれぞれ正反対の見解があって、はたして実際にはどうなのかが今一つわかりづらいのではないでしょうか。今回はこのあたりを中心に、私なりの捉え方でご説明したいと思います。
■「成果主義」と「目標管理」の今
「成果主義」はこの10数年で多くの企業に取り入れられ、途中行き過ぎた形からの揺り戻しはありましたが、現状使われている人事制度では、何らかの形で成果主義的な要素を持っている場合がほとんどと思います。一般的には定着している考え方ということができるでしょう。
にもかかわらず、「成果主義」と「目標管理」については、多くの否定的な見解も見受けられます。私が知る中でも、「成果主義」と「目標管理」によって、業績が上がったとか、社内が活気づいたという100%肯定的な話は、残念ながらあまり聞いたことがありません。
では、そんな制度ならばなぜやめないのかとなりますが、実際に「成果主義」と「目標管理」を全面的にやめたという話もあまり聞きません。これには「思ったほどではなくても一定の効果はあった」ということと、「やめたとしてもその代わりになる仕組みが見出せない」ということのいずれかの理由が多いと思います。中には「後ろ向きな姿勢と取られたくない」「今さらやめるといえない」なんていう、あまり合理的でない理由もあるようです。
少なくとも「頑張った人には報いる」という考え方は肯定しつつも実際にはなかなかうまくいかず、かといって他に良い方法も見当たらず、現場の慣れを期待しつつ、制度を修正しながら運用しているというのが実態ではないでしょうか。
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