信越化学が米国ルイジアナ州に塗料用材料の製造工場を新設

2012年5月7日 11:00

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記事提供元:エコノミックニュース

 信越化学が、同社の100%子会社であるSEタイローズ社が、米国にヒドロキシエチルセルロース(HEC)の製造工場を新設すると発表。信越化学の米国子会社であるシンテック社が所有する土地の一画に新設される工場は、生産能力年産9千トン。投資額は120百万ドルで、年末には着工し、操業の開始は2014年初めを予定している。

 HECとはセルロース誘導体の一種。主に水溶性ペイントに使用され、粘度の調節、着色剤の沈殿防止、接着力の向上などで優れた効果がある。現在のSEタイローズ社HECの生産能力は年産1万6千トンであるが、米国工場が完成すると信越化学グループのHECの生産能力は2万5千トンとなる。また、ヨーロッパと米国に二つの生産拠点を持つことにより、米ドル建ての取引が多いHECの販売において、為替の変動に柔軟に対応することが可能となり、さらに安定供給も図れる。

 4月26日に発表された信越化学の連結決算によると、HECを含む機能性化学品事業の売上高は前年同期比4.3%増の871億2700万円、営業利益は同比13.8%増の146億9800万円と、順調に推移。中でもHECの需要は、堅調な伸びが期待されているという。セルロース誘導体市場のなかでは各用途において高いシェアを誇っているものの、信越化学の純利益1006億円と比すると、この事業はまだまだ主力と言えるレベルではない。需要拡大が期待されシェアが高い分野だけに、どれだけ成長し、市場を拡大することができるか、今後の伸長に期待が高まるところであろう。

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