【今日の出来事&マーケット】物価1%上昇政策にマーケットは好感=犬丸正寛

2012年2月15日 11:45

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

日本銀行は14日(火)、国債買い入れなどの金融緩和で「物価上昇1%をめど」とする政策を決めた。

日本銀行は14日(火)、国債買い入れなどの金融緩和で「物価上昇1%をめど」とする政策を決めた。[写真拡大]

★株がリードするが政府の「日本再生策」なければ限界

  日本銀行は14日(火)、国債買い入れなどの金融緩和で「物価上昇1%をめど」とする政策を決めた。これを受けて、日経平均は14日(火)の52円高に続いて15日(水)も164円高の9216円と買われ、昨年8月8日以来の水準へ上昇。マーケット全体の動きを表すTOPIX(東証株価指数)も15日は12ポイント高の799ポイントと昨年8月5日以来となる800ポイントに接近となっている。好感した動きとなっている。

  バブル経済崩壊から20数年。土地、株など資産価格の下落が続いた。当然ながら、資産が傷ついたことで消費は手控えられた。しかも、少子高齢化という構造的な要因も加わった。売れないから、物・サービスの値段は下がるのが当たり前の時代になってしまっていた。もちろん、給料も上がらない。それどころか、就職もままならない。

  これまでの政策は、低金利策を採りながらも、「手当て」というバラ撒きでテコ入れしようとした。しかし、人は先行きに不安があれば、消費より蓄えに回す。『馬を水辺に連れて行くことはできても飲ますことはできない』の教えもある。水を飲みたいように仕向けることが大切なのだ。

  来年には民主党が政権を担って4年となる。選挙が近づいている。東日本大震災という不幸な出来事はあったものの、経済、庶民の暮らしは前回選挙の2009年頃よりかえって悪くなっている。庶民寄りの政権ということで大いに期待したものの、生活は期待したほど良くはならなかった。雇用などはむしろ悪化した。

  そうした中で今回、日銀が腰を上げた。最近発表の昨年10~12月の経済成長率が年率でマイナス2.3%となったことが日銀を動かしたのだろう。東日本震災の復興効果も遅々として進まない。せめて、『災い転じて福となす』ような、日本の将来に夢でも与えてもらいたいのに、それもない。政治は次の選挙のことばかりと思われても仕方がないほどのやり取りばかり。そんな中で、日銀の「脱デフレ宣言」は大きい意味がある。

  もちろん、直ちに「土地」、「住宅」、「マンション」、「会員権」、「株」などの資産価格が大きく上がるとは思えない。少子高齢化による需要不足、東海沖大地震の恐怖などもある。物の値段が上がるときは、基本はやはり需給関係だろう。とくに、「欲しいものがある時」、「上がるだろうと多くの人が思う時」に需要を刺激する。その意味では、日銀が「1%を言い続ける」ことで、人々の気持ちは変わってくる効果はあるだろう。

  ただ、日銀だけでなく、政府も「日本列島のあり様」を思い切って変えて、日本再生をはかるところではないか。今のまま、東京で地価を上げようと思ってもなかなか難しいだろう。かつて、奈良―京都―鎌倉―江戸と首都を変えたように、思い切って「首都移転」と「道州制」を考えるくらいのことが必要なところに来ているのではないだろうか。「物価1%上昇めど」政策だけでは、図体が大きく、老齢化した日本を本格浮上させることは難しいのではないか。

  当面は、資産の中で「株」がリードする形となるだろう。行き場のないマネーが株式市場に向いて、「不景気の株高」となるだろう。しかし、それは、あくまで「不景気」においてであり、不景気を好景気に結びつけるには、やはり政府による外交も含めた日本再生策が大切と思われる。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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