8年ぶりにメガホンをとった監督・伊勢谷友介、西島秀俊・森山未來W主演で話題の『セイジ―陸の魚―』撮影秘話を語る

2012年2月6日 14:15

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記事提供元:ファッションプレス



  2012年2月18日(土)、伊勢谷友介監督第2作となる『セイジ―陸の魚―』が公開される。辻内智貴のベストセラー小説「セイジ」に深い感銘を受けた伊勢谷が第1作「カクト」から8年ぶりに監督をつとめ、映画化に5年という歳月をかけて完成させた。昨年10月には東京国際映画祭の特別招待作品として上映された、注目の作品だ。

 

  まだバブルの熱気が残っていた時代、学生最後の夏休みを迎えた「僕」は、適当に就職先を決めて散歩のような当てのない旅に出かけた。ふとしたことから出会ったドライブインの店主セイジと、夜ごと集まる個性的な常連客たちに強く惹かれて、住み込みで働くようになる。しかし、そんな「僕」の平和な日常を吹き飛ばす凄惨な事件が起こり…不器用にしか生きられない男たちの他者との関わりを描く、伊勢谷監督渾身の魂の慟哭の物語だ。

  主演・セイジを日本映画界を牽引し続けている西島秀俊、ダブル主演で物語の視点となる「僕」を、若手俳優の中でも人気と実力を兼ね備えた森山未來が演じる。ヒロインは裕木奈江、強烈な印象を残す盲目の老人役は映画界屈指の名優・津川雅彦が熱演した。またサウンドトラックを、渋谷慶一郎が手掛け、スクリーンに映し出される鮮やかな自然美と繊細に描かれた人間ドラマに更なる深みを与えた。テーマソングには松田龍平の妻でモデルの太田莉奈が初の歌手活動ながら起用され、作品のイメージに相応しい歌声を披露している。

 

  公開に先立ち、1月24日(火)と2月2日(木)にはVACANT渋谷で報道陣やブロガーら約80名を対象に試写会が行われた。ロッジのような内装が暖かな印象のアートスペースで座布団を敷いて映画を見るという、懐かしいさが映画の雰囲気と絶妙にマッチしていた。

  2月2日(木)の回では、監督の伊勢谷、伊勢谷が代表を務めるREBIRTH PROJECTの副代表でプロデューサーの龜石太夏匡によるトークセッションが開催された。本作は、企画が持ち上がってから公開までに、様々な事情から5年という時間がかかっている。しかし、その5年という時間が「セイジ」という原作を理解し、いかに表現するかという構想が深まった有意義な時間だったと伊勢谷は振り返る。

  「この作品を見て、主人公セイジの選択を受け入れるか受け入れられないかは観客ひとりひとりによると思う。でも、『これからの未来を、いかに生きるべきか?』というメッセージを自分に置き換えながら、見てほしい」と映画に対する想いを伊勢谷が語った。

  人生を諦観したかのように、社会に関与しないという選択を選んだセイジに対してのアンチテーゼからこの映画製作は始まったという。作中の衝撃のシーンはなぜ、起きたのか。それを明らかにするために、原作にはないセイジの過去のエピソードが追加されている。これによって、ある種の奇跡を起こした「神」として原作で語られるセイジの奥底にある葛藤や悩み、苦しみが、人間らしさという身近さとともに私たちにもより強く迫ってくる。プロデュースを手掛けた龜石は、原作者の坪内にも高く評価されたと喜びを語り、自信を見せていた。

  伊勢谷が最もこだわったのは、作中でシンボリックに登場するダム。人間が自然に強引につくったダムは、自然の中にありながら社会と拮抗する存在だ。自然と人間社会が共存していこうとするプロジェクト「REBIRTH PROJECT」との関係を交えて解説しながら、「良いアイディアに自由に人々が集まる形へ社会を変えていきたい。自分の意志・意見を持って主体的に活動していくべきなのではないか」と伊勢谷自身の夢や生き方を覗かせる場面もあった。

  セッション後には招待客と映画の感想を熱く語り、次回作への意欲に燃えていた伊勢谷と龜石。今後の活躍にこれからも目が離せない。

  【作品情報】
『セイジ―陸の魚―』
公開日:2012年2月18日(土) テアトル新宿他全国ロードショー
キャスト:西島秀俊/森山未來/裕木奈江/新井浩文/渋川清彦/滝藤賢一/二階堂智/津川雅彦
監督:伊勢谷友介
原作:「セイジ」辻内智貴(筑摩書房/光文社文庫)
脚本:龜石太夏匡/伊勢谷友介/石田基紀
プロデューサー:龜石太夏匡/武部由実子/石田基紀
音楽:渋谷慶一郎
企画・製作:キノフィルムズ
配給:ギャガ+キノフィルムズ

  ■公式サイト:http://seiji-sakana.com/

 

※本記事はファッションプレスニュースから配信されたものです。ファッションプレスでは、ブランド、デザイナー情報、歴史などファッション業界の情報をお届けしています。

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