オリンパス、第三者委が調査報告書を発表 損失額は合計1348億円 

2011年12月6日 17:39

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 オリンパスは6日、同社の過去の一部買収案件等について調査を行っていた第三者委員会から、本日、調査報告書を受領したと発表した。なお、当該調査報告書は同社のウェブサイトから入手することができる。

 オリンパスは先月1日、マイケル・シー・ウッドフォード前代表取締役社長の解職に伴い話題となった、同社の過去の買収案件問題について検証する第三者委員会を設置。甲斐中辰夫弁護士(元最高裁判所判事、元東京高等検察庁検事長)を委員長とし、同社と利害関係のない弁護士5人と公認会計士1人の計6人構成の第三者委員会は、これまで、同社の過去の一部買収案件等について調査するとともに、その調査の過程で判明した同社による1990年代頃からの有価証券投資に係る損失計上の先送りについても調査を行ってきた。

 第三者委の調査報告書によると、損失分離スキームが固まり、オリンパスが保有していた含み損失の大部分の分離が実行されたと考えられる1999年~2000年ころにおいて分離された損失額は960億円、2003年においては1177億円だった。

 しかし、その後、損失分離先のファンドにおける新たな投資の失敗による損失の拡大や、ITX株式の売却損、スキーム運営の協力者への報酬の支払い、ファンド運営費用の継続的な外部流出の発生等により、損失が拡大。その結果、国内3社株式取得額のうち、損失分離先のファンドに流出した716億円に、ジャイラス買収に関連して支払ったワラントおよび配当優先株の取得額計632億円を併せた合計1348億円が、損失分離スキームによって飛ばした1177億円の損失に加え、スキーム維持費等に充当されたという。

 なお、調査の結果、新たな簿外債務や水増しされた資産は発見されたなかったという。また、一部メディアにおいてオリンパスが反社会的勢力(暴力団組織)と関係を持っていた可能性があると報道されたことについても、「反社会的勢力の関与は認められなかった」と調査報告書に記載されている。さらに、オリンパスが支出した国内3社の株式取得ならびにジャイラス買収に関連して支払ったワラントおよび配当優先株取得の過程で認識されたのれんおよびその償却や減損処理を取り消すなどする必要があることも記載されている。

 これを受け、オリンパスは、具体的な財務数値を確定させた上で、速やかに平成19年から平成23年までに提出した有価証券報告書等の訂正報告書を提出する予定。一方、平成24年3月期第2四半期報告書についても、12月14日までに監査法人のレビューを受けた上で提出する予定で鋭意準備を進めているという。併せて、平成24年3月期第2四半期決算発表についても、12月14日までに行うことを目指すとともに、過去の決算短信等も速やかに訂正し、公表する予定。

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