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スマートハウス市場を取り巻く現状と今後のカギ
"スマートハウス元年"と呼ばれる今年、各住宅メーカーはどのような商品を市場に投入し、また開発を進めているのであろうか。 震災以降、住まいとして消費者に求められている商品が、次々と市場に投入された。耐震性の住宅は各メーカー共、既存の製品をさらに一歩進める形で、強化をはかり、現在も激しい開発競争は行われている。震災前は「昨今の住宅は地震に強いのが当たり前」という感覚から、それを意識しにくいと思われたが、現在は大地震が起きても倒壊しない頑丈な家は購入動機として、最重要項目という位置づけでクローズアップされている。そしてもうひとつ、エネルギー問題に直面し、"省エネ"中心の考え方から"省エネ+創エネ+畜エネ"と住まいの中で電力を自給自足するという意識が高まってきた。 住宅メーカーは低炭素社会実現に向けて、早くからエネルギー問題に注視し、創エネシステムを住まいに導入することに取り組んできた。かつて、世界で導入率がトップだった実績を持つ太陽光発電システムもそれを象徴している。現在では太陽光発電システムは標準装備に近づいていると言っても過言ではないし、エネファームなどの家庭用燃料電池も高額ではあるが、市場がもっと要求すれば、価格競争も手伝って、求めやすいプライスの実現もそう遠くないと思われる。そして、蓄電池も大容量の低価格化に向けた動きや、新たなカテゴリーとして小容量蓄電池の市場も動き出している。 では、実際どのような形で住まいに搭載し、市場に送り出しているのだろうか。 大手住宅メーカーは既に太陽光・エネファーム(燃料電池システム)による発電システム搭載している商品も多く、例えば住友林業では太陽光発電に太陽熱給湯をプラスしたWソーラーやエネファームを地域や条件によって選べる「ソラボ」があり、パナホームでは太陽光とエネファームによるW発電システムを持つ「エルソラーナ」がある。 そして、業界初となる太陽光発電+蓄電池に加え、家庭内での電力を見える化し、住まい手の省エネを喚起する「HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)」を導入したスマートハウス「スマ・エコ・オリジナル」を発売したのが大和ハウスだ。また、先日トヨタホームが発表したスマートハウス「シンセ・アスイエ」は「HEMS」にコントロール機能が搭載してあり、今後はこのように進化していく「HEMS」の環境整備に向け、官民も大きく動き出している。 一方、「HEMS」搭載住宅は大手だけではない。中堅住宅メーカーのアキュラホームは太陽光発電にガス発電を加えたW発電システムに、家庭用蓄電池を加え、さらに「HEMS」をプラスしたシステムを搭載したスマートハウス「めぐるecoW」を冬の節電対策を視野に入れ、今年の9月に発売した。この商品の発売に先立ち"カンナ社長"の愛称で知られる同社の宮沢社長が、自宅を実証実験の場としてホームページなどでも公開し話題を呼んだ。内容的にも太陽光発電の充電が不十分など、様々な問題を抱えながらも21日間の電力自給自足を行ったことなどが記録されており、非常に実用的な実験であったことを報告している。 スマートハウス元年と呼ばれ、その普及に向け入り口に立った感はある。しかし「HEMS」においては、その進化と共にコントロールされる電気製品での多メーカー間の枠組み作りなどもこれからだ。また、家庭用燃料電池や蓄電池にしても、まだ普及価格には至っておらず、市場拡大に向け問題は多い。住宅メーカーは製品開発の状況やインフラ整備も睨みつつ、住まい手の要望に応える商品をいかに早く市場投入できるかが今後のカギとなってくる。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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