日経・朝日・読売が「ANY 連絡協議会」を来春に新設 読み比べサイト「あらたにす」は終了

2011年11月11日 13:00

印刷

 日本経済新聞社、朝日新聞社、読売新聞グループ本社は10日、東日本大震災後の災害時相互支援体制や、販売協力をはじめとする3社協力体制の一段の強化や、より機動的な協業体制の可能性を探るため、2012年春を目処に「ANY 連絡協議会」を新設すると発表した。

 これに伴い、「日経・朝日・読売インターネット事業組合」は、その役割を連絡協に引き継ぎ、同時期をもって解散する。また、連絡協の新設に併せて、3社の新聞記事の読み比べサイト「あらたにす」を終了する。一方、Facebook「あらたにす 学生は言いたい!」については、装いを一新し、大学生たちがメディアやニュースについて語り合う言論空間の場を拡大し、充実を図っていく。

 これまで3社は、協力体制をスタートさせた2007年10月以降、新聞発行・情報配信にかかわるさまざまな分野で2社間、3社間で有機的に結びつきながら、共同事業や業務提携を展開し、相互援助を図ってきた。
 
 全国紙同士では初めて結ばれた災害時相互支援体制では、災害や大規模システム障害など、不測の事態で新聞発行が不可能になった時に備え、他社のシステムを使って紙面を制作したり、他社の工場で新聞を印刷したりする代行体制を整えた。紙面制作代行では、3社の担当者による作業の実地訓練を定期的に実施。印刷代行では、紙面データを交換する仕組みを構築して、青森・弘前地区を皮切りに、北海道・大曲、仙台、名古屋、群馬、四国、茨城の7地区で運用を開始している。

 印刷工場から販売所まで新聞を効率良く運ぶための共同輸送体制も首都圏の一部で実施している。また、千葉県や香川県の印刷工場では相互の委託印刷も行われ、来年2月には京都府で委託印刷が始まる。販売事業の分野では、配達共同化の提携を、地域を選択しながら進めている。編集分野では、鹿児島県内の一部地域で、取材した記事や写真を相互に配信するなど地域取材の連携を図っており、実績を挙げている。

 また、インターネットの共同事業としては、2007年11月に、「日経・朝日・読売インターネット事業組合」をつくり、翌年1月に始まった3紙読み比べサイト「あらたにす」や、今年6月に開設したFacebook「あらたにす 学生は言いたい!」を運営。新聞やメディアの魅力をインターネット読者に余すところなく伝えている。

 「ANY 連絡協議会」はこうした、これまで事業ごと、プロジェクトごとに随時組成してきた協力関係を一元的に統括する役割を負う常設機関として発足する。3社が新聞界を取り巻く様々な環境変化に機敏かつ効果的に対応し、新聞事業のさらなる発展を図ることが目的。東日本大震災を受けて、より一層の災害時相互支援など、今後の具体的な3社の協力強化策は順次、検討を進めていくという。

 今回、新しい協力体制の第一弾として、2012年春に、Facebook「あらたにす 学生は言いたい!」を衣替えし、大学生たちがメディアやニュースについて語り合う言論空間の場を拡大し、充実を図っていく。

 Facebook「あらたにす 学生は言いたい!」は今年6月にスタートした、日々のニュースやメディアについて、大学生や大学院生たちが実名で大いに議論する交流の場。編集長役の大学生が毎日、メディアやニュースについての「お題」を同世代の若者に投げかけ、それにこたえてもらうSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。大学生を中心に現在、約2万人のユーザ―が利用し、月間1500万インプレッションを記録するなど、3新聞社協力の象徴的なサイトとして支持されている。

 多種多様な情報を「比べる」という「あらたにす」のコンセプトを発展させ、今後はこのFacebookをさらに活用して、「提言する」コンセプトを前面に出していく方針。今後、学生編集長を公募し、3社の紙面と連携しつつ、キャンパスライフや就職活動にも活用できるよう企画・運営に厚みをもたせていく予定。

関連記事