微細構造定数は定数ではないかもしれない

2011年11月7日 11:30

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記事提供元:スラド

 capra 曰く、

 量子力学における定数である「微細構造定数」が定数ではないかもしれないという研究が発表されたそうだ (Physics Buzz の記事本家 /. 記事DOI: 10.1103/PhysRevLett.107.191101より) 。

 光が原子にぶつかると特定の波長が電子に吸収される。吸収される波長は原子によって異なるため、これを利用して遠くの物体がどのような原子により構成されているかを判別できる。吸収された波長は光をプリズムにあてると黒い線 (スペクトル線) として表れるのだが、ハワイのケック望遠鏡およびチリの超大型望遠鏡 VLT を用いて 300 以上のクエーサーの分光的特徴を詳しく調べたところこのスペクトル線が想定と異なる箇所やパターンで表れたとのこと。研究者らによると今回の調査でマグネシウムやニッケル、クロムや亜鉛などのイオンがあるべき波長と異なる波長を吸収していることが確認されたというのだ。

 今回の研究では北半球のクエーサーでは微細構造定数はαより僅かに小さい値を示し、南半球では僅かに高い値を示していたという。研究者らはこの現象を検証の上、電磁気力の強さを表す定数である微細構造定数 (通常αで表される) の変化が原因ではないかと結論づけたとのこと。この論文は大きな議論を呼んだため掲載されるまで 1 年以上もかかったという。

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