森記念財団の「世界の都市総合力ランキング」、東京4位も経済分野で1位に浮上

2011年10月20日 10:31

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2011年の分野別総合ランキング(グラフ提供:森記念財団)

2011年の分野別総合ランキング(グラフ提供:森記念財団)[写真拡大]

 財団法人「森記念財団」は19日、世界を代表する主要35都市の総合力を評価し順位付けした「世界の都市総合力ランキング(2011年度)」を発表した。

 発表によると、2011年の分野別総合ランキングは、1位:ニューヨーク、2位:ロンドン、3位:パリ、4位:東京となり、2008年以降4年連続で、トップ4都市の顔ぶれと順位に変化はなかった。一方、2008~2011年にかけて、東京と第1位であるニューヨークとのスコア差は徐々に縮まっているという。

 トップ4都市に続く第2グループは、5位のシンガポールが頭ひとつ抜けているものの、6位のベルリンから24位のブリュッセルまでのスコア差は40点以内であり、第2グループ内では比較的大きな順位変動が見られた。

 アジアの主要都市であるソウル、香港、北京、上海、大阪が軒並み順位を上げ、特に北京は24位から18位へと躍進した。「これは北京が経済分野の指標において大きく上昇したことが要因として挙げられる」と同財団はコメントしている。
 
 米国の都市についても、ロサンゼルス、ボストン、サンフランシスコが順位を上げたが、その一方で、カナダ、オーストラリア、ならびに欧州の都市の多くが順位を下げているという。

 なお、下位グループとして25位のトロントから35位のカイロが続くが、これらの都市は小幅な順位変動に留まっているという。

 また分野別では、東京は、経済、研究・開発、文化・交流、交通・アクセスの各分野に居住、環境分野を加えたいずれの分野においても、唯一、一桁の順位を獲得している都市であり、バランスのとれた総合力を発揮している。経済分野では、ニューヨークがリーマンショック(2008年9月)の影響による落ち込みを見せたために、東京が1位へ浮上した。また、居住分野では、ヨーロッパ・北米都市と並んで、日本国内の都市が上位に食い込んでいる。

 同財団は、今回の評価結果に関し、「トップ4都市と第2グループの先頭に位置するシンガポールとのスコアの差は大きいものの、シンガポールがこのままスコアを伸ばした場合、東京は7年で追いつかれることになる」と分析している。

 同財団の「世界の都市総合力ランキング」は、調査方法として、世界を代表する主要35都市を選定し、都市の力を表す主要な6分野(「経済」、「研究・開発」、「文化・交流」、「居住」、「環境」、「交通アクセス」)における69の指標に基づいて評価を行う。

 さらに現代の都市活動を牽引する4つのグローバルアクター(「経営者」、「研究者」、「アーティスト」、「観光客」)ならびに都市の「生活者」を加えた合計5つのアクターに基づき、これらのアクターのニーズと都市の指標を重ねたマトリックスから複眼的にアクター別の都市の魅力を評価する。

 このように都市を分野ごとに客観的に評価しながら、アクターという都市の利用者の視点に基づく評価を同時に行っている面で、世界的にもユニークな調査・研究とされている。

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