父親のミトコンドリアが次世代に伝わらない機序が解明される

2011年10月17日 10:30

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記事提供元:スラド

 Aluminum-Carbide 曰く、

  ミトコンドリアの DNA は母親のミトコンドリア DNA を引き継ぐことが知られているが、群馬大学の研究者らが受精卵内で発生する自食によるものであることを発表した (MSN 産経ニュースの記事群馬大学プレスリリース[PDF]、DOI: 10.1126/science.1210333 より) 。

 これまで母性遺伝される仕組みについては希釈モデルや選択的分解モデルが提唱されてきた。希釈モデルは量的に少ない父性ミトコンドリアが母性ミトコンドリアに希釈され、そのうちなくなってしまうというもの。選択的分解モデルはその名の通り、受精後に父性ミトコンドリアが選択的に分解・除去されるというモデルである。どちらのモデルも決め手に欠けており、特に後者においては父性ミトコンドリアが選択的に分解される仕組みが分かっていなかった。

 群馬大の佐藤教授らは、線虫を用いて受精前後の卵子を観察し、自食に関わる遺伝子機能を欠損させた線虫においては父性ミトコンドリアが幼虫期になっても残存することを明らかにした。この自食に関わるタンパク質の集積は受精しないと起こらないことから、精子の卵子への侵入をトリガーとして自食が誘導される事を突き止めた。

 ある種のミトコンドリア病は母性遺伝することが知られており、これらの仕組みの理解につながることが期待されるという。

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