CERN、ニュートリノの超光速での移動を計測

2011年9月26日 14:15

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記事提供元:スラド

 greentea 曰く、

 既に各種報道でもご存じの通り、長基線ニュートリノ振動実験 OPERA による実験で 1 万 5000 個のニュートリノをジュネーブにある CERN の研究所から 730 km 先のイタリア中部、グランサッソー地下研究所に発射したところ、光速での移動よりも 60 ns 早くニュートリノが到着したという報告が行われた (名古屋大学のプレスリリース(PDF)、Reuters の記事arXiv:1109.4897より) 。

 SF 作家である山本弘氏のブログ記事でも指摘されているように、もしこの結果を「ニュートリノは光より 0.0025 % 速い」と解釈するならば、超新星 1987A の観測と矛盾する。しかし光より速い粒子がある事自体は既にジェラルド・ファインバーグにより論証されており、各種報道が述べているような「相対論の崩壊」などは筋違いであるとしている。また理論物理学者の野尻美保子氏のブログ記事で指摘されているが、arXiv に掲載された結果報告の最後で系統誤差を調べる必要性について言及されており、結果の理論的、現象論的解釈をしないと異例の断り書きをつけている。BBC News の記事 では本研究のスポークスマンでもある Antonio Ereditato が「このおかしな結果を理解できるようにコミュニティの助けをお願いしたい。なぜならこの結果は気違いじみているからだ」と述べている。

 既に解析の問題点探しが始まっているとのことだが、例えば MINOST2K といった同じ長基線ニュートリノ実験は OPERA とは実験条件も加速器の性能も異なるため、当面は OPERA グループ内での解析待ちということになりそうだ。

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