コツコツとした努力が企業スポーツを広げる

2011年9月12日 11:00

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記事提供元:エコノミックニュース

 バレーボールにバスケットボール、アイスホッケーなど、高度成長期には企業がスポーツチームを持つという姿は国内でも多数見られた。プロ野球やJリーグを除く他の競技リーグのほとんどが企業チームによって編成されていたが、1991年以降の不況で、廃部や休部に追い込まれ、一時、企業スポーツは崩壊寸前となっていった。

 しかしここ数年は、「企業がスポーツチームを保持する」ことの新たな意味として、イメージの向上といった広告効果や社員の一体感・モチベーションアップといった企業の直接的な利益だけでなく、国内スポーツ全体の競技力の底上げ、さらに社会貢献や地域共生といった意義を考え、あらゆる方法で採算性を度外視し、スポーツそのものを支えたいと考える企業が定着してきた。各地域と連携を取った地域密着型のクラブチーム化も含め、企業スポーツは転換期にさしかかってきたのだろう。

 世界最大級の特殊鋼専業メーカーである大同特殊鋼が保有するハンドボールの大同特殊鋼フェニックスは、1973年の創部より現在もトップクラスの強豪チームとして君臨している。また、大手化学企業である東レは、バレーボールチームの東レアローズ(女子)を2000年、伝統あるユニカ・フェニックスから引継ぎ、現在もVリーグでトップ争いを続ける強豪チームである。どちらのチームも、オフの時期には子供を集めて教室を開くなど、存続するための地道な活動を行っている。

 ラグビートップリーグに所属するヤマハ発動機ジュビロは、トップリーグで唯一ホームスタジアムを持ち、Jリーグのジュビロ磐田と共に地域活性や一体感を目指す、ユニークな取組みを進めている。ラグビーは世界的にはファンが多いスポーツだが、基本的なルールなどを知らない人が多く、サッカーに比べて馴染みが薄いため普及活動がこれまで課題となっていた。

 ヤマハ発動機ジュビロはラグビースクール運営やタグラグビーの小中学校の体育授業化、また地域のイベントに積極的に参加するなど、普及活動を行っている。また、これまで「ラグビーはルールが難しいから・・・。」と関心を持てなかった人が楽しく、分かりやすく学べるウェブコンテンツ「らぐナビ」を制作・公開している。

 この「らぐナビ」はラグビーのゲーム構成、ポジション、ルールなどの基本知識や観戦のポイントを第1回目の"ポジション"を皮切りに、今後毎週月曜日に5分程度の動画を1本ずつ公開。11月14日までに全12回シリーズでの公開を予定している。また、10月29日の開幕戦を含むホームゲーム開催時にはヤマハスタジアムでの公開も予定しているという。

 企業スポーツのあり方を考えるとき、馴染みの薄いスポーツをいかに広めるのかも競技力の活性化につながる。現在もスポーツチームを保有する企業の努力が実を結ぶことを願いたい。

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

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