適材の活用について~勝つのは適材を生かせる企業~

2011年9月9日 17:39

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■事業再生を立案したのは
 ある企業の事業再生をお手伝いしたときの事であるが、この会社はトップダウンが弱く、経営戦略、経営管理が不十分な状態で経営が推進され、結果として売上ダウン、変動費アップ等の問題により赤字が続いていた。

 これを打開すべく事業の再生戦略の立案が必要になったが、この戦略を経営トップではなく会社の将来の危機感を持っている管理職手前の若手数人が集まって立案し、これをサポートした。

 戦略構築の手順に沿って、SWOT分析、事業ビジョン、ビジネスモデル(付加価値の出し方、収益の出し方、仕事の仕方)の構築、実行すべき戦略課題の抽出、組織改革の立案等、若手メンバーで日常業務の忙しい中、時間を見つけて積極的に活動し戦略を構築した。

■自ら動くことができる社員
 通常、コンサルティングの現場では役員クラスで戦略を構築する場面が多いが、今回は若手社員を指導しながら再生戦略を立案した。上から言われて行動するのではなく、自ら戦略構築を志願したメンバーなので非常に能動的で検討のスピードが速く、普通は3~4カ月の期間が必要なところを2カ月で戦略構築を終了できた。

■社員が適材である6つの条件
 ビジョナリーカンパニーの著者で有名なジェームズ・C・コリンズが危機を生かせる会社は社員が適材であることが重要といっている。彼は社員が適材である条件を6つあげている。

1.会社の基本理念を共有している
経営者は基本理念を共有できない人材を採用してはならない

2.上から厳しく管理される必要はない
会社が社員の管理に多くの時間を割いていたら、 経営者は人材採用で誤っている

3.仕事ではなく責任を与えられていると自覚している
「私が最終責任を負う」と誓約できる

4.コミットメントを守り、大言壮語しない
不平を言わずに「やる」と言ったことを確実に実行する

5.会社と仕事に対して情熱を見せる
情熱を持っていてこそ偉大なアイデアや商品を生み出せる

6.「窓と鏡」の基準を満たしている
適材は成功したら仲間の功績に、失敗したら自分の責任にするほど成熟している

 私はこの適材を生かせる企業が外部環境の変化に柔軟に適応でき、勝ち組になれる会社だと考える。先ほどの事業再生戦略を構築した若手メンバーはまさにこの適材メンバーで、受身ではなく能動的で我々も指導のしがいがあった。

 このような人材をうまく活用できる経営トップの意思、役割が非常に重要だと考える。

著者プロフィール

中山 幹男

中山 幹男(なかやま・みきお) 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役

大阪大学工学部機械学科卒業後、大手自動車メーカにおいて商品企画、設計・開発、品質管理、環境対策業務等に従事。その後大手コンサルティングファームの経営コンサルタントとして7年間勤務。
韓国の大手家電メーカを手始めに製造業を中心としたコンサルティングを実施する。1997年に「現場主義を貫き、行動的に活動して成果を出す経営コンサルティング」を目指し、A&Mコンサルトを設立し現在に至る。激変の環境変化の中で、企業の永続的な存続を前提に戦略構築、仕組改革、組織風土改革のトライアングル視点で企業の体質強化を図る。
会社URL  http://www.a-and-m.biz

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