東電、原発事故の本補償概要を発表 交通費5千円、4人家族で231万5千円など

2011年8月30日 17:02

印刷

 東京電力は30日、福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の事故による原子力損害への本補償に向けた取り組みについて、概要を発表した。

 請求から補償額の確定については、まず、同社から送付された請求書用紙に必要事項を記入の上、損害額を請求する。その後、同社が、請求された各項目の内容を確認し、補償額を算定した上で、被害者と合意・確定した全額を速やかに支払うという流れ。

 対象期間については、「現在、当社事故が収束しておらず、多くの損害項目について、損害の終期を設定することが困難なことから、事故発生日(本年3月11日)から本年8月末日までの間に確定した損害について、初回のご請求をいただくこととし、その後は、3ヶ月ごとにその間の損害に対しご請求いただき、お支払いさせていただく」と同社は説明している。

 今後のスケジュールは、個々の損害については、「今年9月12日を目処に請求書用紙等の発送および受付を開始し、今年10月の早い段階での支払い開始を目指す」としている。また、法人および個人事業主らに係る損害項目に対する補償については、「多種多様な事業に対応した請求書用紙および請求の案内の整備に時間を要しているため、今年9月中の発送を目途とし、改めてお知らせする」としている。

 補償基準については、宿泊費など、損害に対する補償を請求する際は、原則として、領収書等の必要書類を確認し、実費を支払う。なお、一定額を上回る請求については、具体的な事情も確認したうえで、補償額を協議するという。

 精神的損害や自家用車を利用した交通費等、損害額を証明または領収書等を提示することが難しい請求については、損害発生の事実を確認し、同社が定める補償金額を支払う。また、地震や津波等の他要因による損害については、本補償の対象にはならない。

 具体的には、交通費については、同一県内の移動の場合、「1回あたり1人5,000円(負担額が5,000円を超える場合は具体的な事情を確認の上、補償)」となる。都道府県を越える自家用車による移動の場合、「車1台あたり移動元、移動先毎の標準金額」を補償するとしている。

 また、宿泊費については、領収書の金額が1泊8,000円以内の場合、「実費」を補償するとしている。また、領収書の金額が1泊8,000円超の場合、「一泊8,000円(負担額が8,000円を超える具体的な事情を確認の上、補償)」としている。

 家族の請求例は、「夫(会社員)・妻(専業主婦)・子供2人の4人家族構成で、避難状況が、事故発生後5ヶ月間、警戒区域内の自宅から県内の体育館に避難。その後県内の仮設住宅に移転し、現在も入居中。夫の避難前の月間所得が27万円(現在は無所得)」の場合、本補償額が451万5,000円で、仮払補償金が220万円、今回の支払い額が231万5,000円になるという。

 なお、仮払補償金の取扱いについては、個人に対する仮払補償金の受付は、9月11日までで、「本年9月12日以降の受付分については、本補償の取扱いとさせていただくとともに、本補償までにお支払いをした仮払補償金については、本補償を行う際に、補償額に充当させていただく」としている。

 また、本補償に向け、現在、同社社員(約700人)を中心に1,200人規模で補償相談業務を実施しているが、今年10月を目途に体制強化を図り、社員約3,000人を含む6,500人規模で補償相談業務を行っていくという。

関連記事