業界天気図、震災の影響で5割強が「雨もよう」 帝国データバンク

2011年8月26日 15:15

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 帝国データバンクは25日、8月25日発刊の経営情報誌「TDB REPORT 111号 TDB業界動向2012-I」にて、100業界228分野の業界動向を調査。2011年度の業界天気を予測し、「業界天気図」として発表した。

 業界天気図は、各業界の生産や販売、売り上げ、収益動向などから景況感を総合的に判断したもの。最も景気が良い状態を「快晴」とし、以下「晴れ」、「薄日」、「曇り」、「小雨」、「雨」、最も景気が悪い状態を「雷雨」と7段階で表している。

 調査の結果、100業界228分野の2011年度天気予測は、「快晴」が3分野、「晴れ」が7分野、「薄日」が36分野、「曇り」が56分野、「小雨」が40分野、「雨」が51分野、「雷雨」が35分野だった。

 また、2010年度と比較して天気が「改善」したのは51分野、「横ばい」が120分野、「悪化」は57分野となり、前年度からやや改善がうかがえるも、総体的な傾向として停滞感が強い結果となった。

 全228分野のうち「晴れもよう」(快晴~薄日)となったのは46分野で、全体としては約2割にとどまった。一方、「雨もよう」(小雨~雷雨)は、全228分野のうち126分野と、全体の5割強を占めた。

 「快晴」の分野は、「総合商社」をはじめ3分野。「総合商社」は、引き続き資源高が追い風となり、2011年度は各社が好調な業績を見込む。

 「晴れ」の分野は、「建設機械製造」(建設機械)、「ネット広告」(広告)、「学習塾・通信教育・家庭教師派遣」(教育サービス)などの7分野。海外需要や震災からの復興需要を見込み、「建設機械製造」は、前年度の「薄日」から改善。「ネット広告」は、海外を含めた新市場開拓や新技術開発が業績向上のカギに。

 「薄日」の分野は、「石油化学基礎製品製造」(石油化学製品)、「工作機械製造」(工作機械)、「移動体通信」(電気通信)などの36分野。エネルギー・インフラ関連など成長市場の開拓により「工作機械製造」は、前年度の「曇り」から「薄日」へ改善。「移動体通信」は、スマートフォンの新機種投入でシェア争いが活発化するもよう。

 「曇り」の分野は、「生命保険」、「高炉」(鉄鋼)、「ソフトウェア開発」(ソフトウェア)などの56分野。「高炉」は、自動車メーカーなどの生産活動の復調により需要回復。「ソフトウェア」は、震災を受けて、省エネシステムやセキュリティソフトなどの需要増に期待がかかる。

 「小雨」の分野は、「酒類製造」(酒類)、「全国展開型百貨店」(百貨店)、「トラック輸送」(物流・倉庫)などの40分野。「酒類製造」は、消費者の節約志向から低価格ニーズに対応せざるを得ない状況が続く。「全国展開型百貨店」は、消費者の買い控えや外国人観光客の減少が減収要因に。

 「雨」の分野は、「リース」、「自動車製造」(自動車)、「人材派遣」(人材派遣・職業紹介)などの51分野。「リース」は、国内の電力使用制限などから設備投資需要が冷え込む見通し。「自動車製造」は、円高、原材料高により厳しい業績を見込む。

 「雷雨」の分野は、「紙・板紙製造」(紙・パルプ)、「居酒屋チェーン・ビアレストラン」(外食)、「旅行」などの35分野。「紙・板紙製造」は、原燃料高が各社の収益を圧迫するほか、紙需要の低迷も続く。「旅行」は、福島第一原発事故の収拾遅延からインバウンド需要が激減。

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