地球はかつて、2つの月を有していた?

2011年8月4日 18:43

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記事提供元:スラド

  T.Sawamoto 曰く、

 地球にはかつて二つの月があり、それらが衝突したのかもしれないとの研究結果が、8/4発行の科学雑誌Netureに掲載されるようです(本家/.SPACE.comの記事)。もう一つの月の直径はおよそ1,200km、質量は現在の月の4%程度と推測されています。

 月は現在、常に地球へ同じ面を向けるように自転しており、その裏側は地球から観測することができません。1959年、ソビエトの月探査機ルナ3号が初観測に成功して以来、月の表と裏がかなり異なる様相であることが分かってきました(裏側は平均して1.9kmの高地)。今回の研究は、これを説明するもののようです。

 シミュレーションによると、第二の月は地球-月間のトロヤ点(ラグランジュ点のL4もしくはL5)に数千万年留まっていたのが、月が地球から遠ざかるに従い軌道が不安定になったと目されます。最終的に、およそ時速4,500~6,700マイル(時速7,200~10,800km/マッハ換算で5.9~8.8)という比較的遅いスピードで月の裏面へ衝突し、この結果クレーターを形成することなく分厚い層を形成したとのことです。

 面白いのは、現在の地球と月の形成シナリオであるジャイアント・インパクト説(太陽-地球間のトロヤ点に火星サイズの天体があり、これが原地球と衝突して今の地球と月が生まれたとする説)と類似している点ですね。他にも、冥王星とその衛星カロンがジャイアント・インパクト類似の衝突で生まれたと推測されている等、「トロヤ点に形成された天体が母天体と衝突を起こす」というダイナミックな事件は、太陽系の黎明期にしばしば起きていたのかもしれません。

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