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震災による被害甚大地域の4割が営業不能=帝国データバンク
「被害甚大地域」の企業に震災後の活動状況と今後の事業継続方針を確認した結果を示すグラフ(出典:帝国データバンク「東北3 県・沿岸部 被害甚大地域 5000 社の現地確認調査」)[写真拡大]
帝国データバンクが8日に発表した「東北3県・沿岸部『被害甚大地域』5000社の現地確認調査」によると、津波や原発被害が大きかった地域では、実質的に営業不能状態の企業が全体の4割を占めた。これまでに判明している震災関連の倒産件数の約70倍にのぼる数値であり、これまでの倒産判明が氷山の一角にすぎないことが示された格好だ。
同社では、岩手、宮城、福島の東北3県のうち、津波の被害が特に大きかった地域と原発事故による立入禁止区域・計画的避難区域を合わせた「被害甚大地域」のうち、集計可能な4,280社を対象に震災後の活動について調査した。
その結果、震災後に事業再開した企業が51.6%(2,210社)だったものの、震災前の本社所在地に建物が存在しないか、代表及び会社関係者と連絡が取れず、取引先からも消息が聞けないケースを主に集計した「実態判明せず」が31.1%(1,632社)、「事業休止中」が10.2%(438社)で、「実態判明せず」と「事業休止中」を合わせた実質営業不能の企業が約4割だった。
同社によると、避難所や仮設住宅を事務所代わりに細々と営業を続ける経営者も多いが、震災で企業基盤を失ったために破綻の危機に瀕するケースが多数あることが推測されるという。
また、「被害甚大地域」の企業に今後の事業継続方針を確認したところ、「事業継続意向」が全体の55%(2,360社)だった。ただ、この数字には「会社は全壊して何もなくなり先行きの見通しが立たないが、事業をなんとか続けたい」(岩手県、サービス)といった希望的な意向も多数含まれており、実際に事業継続が「可能」な企業数で見れば、さらに落ち込むと推測されるという。
また、今後の事業継続について全く見通しが立たない「未定・検討中」、「廃業の予定」「調査不能」の企業が合わせて45%(1920社)となり、事業継続の見通しの立たない企業も合わせて4割を超えている。
同社によると、これまでに判明している東北3県の震災関連倒産は31社だが、今回の調査で明らかになった実質営業不能状態の企業はその約70倍にのぼる。同社は、「倒産判明はあくまで氷山の一角という従来からの指摘を裏付けるものだ」としている。
また、事業再開中の企業の中には「従業員を解雇して自宅で細々と営業している」(宮城県、製造)ケースなど、津波で企業基盤を失い破綻の危機に瀕している企業も多いことから、実質営業不能状態にある企業数はさらに増加する見込み。同社は、「今後、復旧・復興までの期間が長引くほど事業継続を断念し、倒産手続きに移行する可能性は高く、関連倒産の件数が急増する可能性も十分にある」と指摘している。
同社の保有データによると、岩手、宮城、福島の東北3県に本社を構える企業数は5万9,156社で、このうち太平洋沿岸部の市区町村には3割超にあたる1万9,855社が存在する。さらに、津波の被害が特に大きかった地域と原発事故による立入禁止区域・計画的避難区域を合計した「被害甚大地域」には5,004社が存在する。
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