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国産スパコン「京」、7年ぶりに世界1位に 「やっぱり2位じゃダメ」
理化学研究所と富士通は20日、共同で開発中の京速コンピュータ「京(けい)」が、第26回国際スーパーコンピューティング会議ISC'11(ドイツ・ハンブルク開催)にて同日発表された「第37回TOP500リスト」において、第1位にランキングされたと発表した。日本のスーパーコンピュータがTOP500リストで第1位となるのは、2004年6月以来のことで、7年ぶりとなる。
今回、TOP500リストに登録した「京」のシステムは、現在整備途中段階のもので、672筐体(CPU数68,544個)の構成。LINPACK(リンパック)ベンチマークでは、世界最高性能の8.162ペタフロップス(毎秒8162兆回の浮動小数点演算数)を達成し、TOP500リストの首位を獲得。また、実行効率は93.0%と高水準の記録を達成した。
理研と富士通は共同で、文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」計画のもと、2012年11月の共用開始を目指し、「京(けい)」の開発を進めている。「京」は、高性能・低消費電力CPU(中央演算処理装置)を搭載した800台以上の計算機筐体を、超大規模接続が可能なネットワークで接続した構成で、先端技術を結集して高性能・高信頼を追求したコンピュータ。
プロセッサの研究、開発からシステムの設計、製造まで全て日本国内で完成させた純国産スーパーコンピュータ「京」は、2012年の完成時にはLINPACK性能で10ペタフロップス(毎秒10000兆回の浮動小数点演算数)を目指している。
「京」の活用で、シミュレーション精度や解析計算速度が飛躍的に向上し、例えば、高効率な太陽光発電に資する新材料開発の加速、防災計画に資する精密な気象予測や地震・津波影響予測など、産業応用から国土・国民の安全に関わる幅広い分野において大きな貢献が期待されている。
なお、スパコンの前世界1位は中国製のもの。「スパコン世界1位」の奪還に関しては、2年前の2009年に行われた事業仕分けで、当時「仕分け人」として人気を集めた民主党の蓮舫氏が、「世界一になる理由は何があるのでしょうか。2位じゃダメなんでしょうか」と発言し、物議を醸したことで話題となった。
今回の結果を受け、理化学研究所理事長の野依良治氏は、「開発パートナーである富士通株式会社をはじめ、東北地方太平洋沖地震によって被災された厳しい状況にもかかわらず「京」の製作に打ち込んでいただいた企業の方々のご尽力に感謝いたしますとともに、この喜びをともに分かち合いたいと思います。そして、世界に誇るべき結果を導いた力は必ずや被災地復興の原動力となることを確信しています。開発の手綱を緩めることなく来年6月の完成を確実に達成するとともに、この世界最高性能の「京」が多くの方に活用いただき、輝かしい成果の創出につなげられるよう、システムの維持と運用に責任をもって取り組んで参ります」とコメントしている。
また、富士通代表取締役会長の間塚道義氏は、「東日本大震災の影響を受けながらも、関係者の多大なるご協力によって今回の結果が得られたことを嬉しく思います。特に、東北地方の協力会社の皆様には、自らも被災した中で部品の安定供給にご尽力いただき、大変感謝しております。今回、数十万点にも及ぶ部品を組み合わせ、従来の技術では動かすことさえ難しい超大規模計算機システムを短期間で立ち上げて結果を出したその信頼性は、正に日本のものづくりの集大成であると考えています。この結果に慢心することなく、今後も着実に導入を進め、完成後の成果創出に寄与して参ります」とコメントしている。
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